画像排泄ロボット犬、ベルリンの美術館へ。AI時代の文化を問う企画展で展示

有名なアーティストや経営者のマスクを装着したロボット犬が、ベルリンの新国立美術館に登場する。ビープルが昨年のアート・バーゼル・マイアミビーチで発表した《Regular Animals》は、4月29日から5月10日まで展示される予定だ。

アート・バーゼル・マイアミビーチで展示されたビープルの《Regular Animals》。Photo: Daniel Cassady

昨年12月、アート・バーゼル・マイアミビーチビープルが発表した四足歩行ロボットの作品《Regular Animals》が、4月29日から5月10日までベルリンの新国立美術館(Neue Nationalgalerie)で展示される。発表当時、この作品の周囲には絶えず人だかりができていた

作品に登場するのは、ブタを思わせる体躯をもつ四足歩行のロボットたちで、それぞれの頭部には、イーロン・マスク、マーク・ザッカーバーグ、ジェフ・ベゾス、アンディ・ウォーホルパブロ・ピカソ、そして、ビープル本人を模した不気味なほどリアルなマスクが取り付けられている

デジタルアートが集結するアート・バーゼル・マイアミビーチのブース「Zero10」では、厚いアクリル板で囲われた空間の中をロボットたちが歩き回り、内蔵カメラで周囲の様子を映し取り続ける。記録された映像は、頭部のマスクが模した人物の作風になぞらえたAIフィルターを通して処理され、その結果として生成された画像が印刷される。さらに、その印刷物はロボットの尻から吐き出される仕組みになっており、来場者はそれを持ち帰ることができた。インスタレーションの周囲には多くの観客が集まり、印刷物が吐き出される瞬間を待ちながら、歓声や笑い声を上げていた。

キュレーターのリサ・ボッティはArtnet Newsに対し、美術館はもはや、経済や政治、そして日常生活を左右するシステムをめぐる議論と無関係ではいられないと語った。さらに、《Regular Animals》のベルリンでの展示は、AIや新興テックがもつ文化的・政治的な意味を正面から問おうとする新国立美術館の姿勢を示すものだと述べている。

ビープルが世界的な注目を集めたのは、NFTブームのさなか、デジタルコラージュ作品《Everydays: The First 5000 Days》が2021年にクリスティーズのオークションで約6900万ドル(当時の為替でおよそ75億円)で落札されたときだった。今回の展示は、ネット上の熱狂のなかで語られる存在だったビープルが、権威ある美術館の文脈へと活動の場を広げてきた歩みを印象づけるものでもある。会場では、このロボット犬たちが、クンストムーゼウム・ヴォルフスブルク所蔵のナム・ジュン・パイクによるビデオ彫刻《Andy Warhol Robot》(1994)と並べて展示される予定だ。

一見すると、このインスタレーションは単なるスラップスティック・コメディに見える。有名人の頭部を載せたロボットの群れがあてもなく歩き回り、ときおり尻から画像を吐き出すからだ。しかし、別の見方をすると、それはアルゴリズムが生活の中心に入り込んだ現代を、徹底して皮肉に可視化しているようにも思える。小さなカメラで世界を観察し、それをフィルター越しに映し出す。そして生成された画像は何も意味をもたず、ゴミを処理するかのように機械は尻から写真を吐き出す。その間、誰もがスマートフォン越しに作品をぼんやりと眺め、時間が経つと「お土産」を拾いに行こうと人々は排出物の周りに群がるのだ。(翻訳:編集部)

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