仏ルーブル美術館が入場者数を制限。「より良い鑑賞体験と労働環境の実現」を目指すと発表
世界で最も入場者数の多い美術館であるパリのルーブル美術館は、「快適な鑑賞環境と、美術館スタッフの最適な労働条件を確保するため」に、今後1日の入場者数を3万人に制限すると発表した。
イギリスのメディア、アートニュースペーパーによると、新型コロナウイルスが猛威を振るう以前、ルーブル美術館は1日に最大4万5千人の入場者を迎えていたという。パンデミックによる16週間の閉鎖を経て2020年7月に再開した際には、海外渡航制限などのため入場者数は減少したが、公式に入場制限は行なっていなかった。
同館の発表によると、2022年の入場者は780万人。前年から120%増加したものの、ピークである2019年の960万人からは19%減となっている。第1四半期は渡航規制の影響が続いたが、後半の3四半期は入場者数が増加し、「好調な傾向を示している」という。
ルーブル美術館は2022年6月、ローランス・デ・カールが次期館長に就任することが発表された直後に、1日の入場者数を制限することを決定。デ・カールは声明で、「2022年の極めてポジティブな数値は、わたしたちルーブルのスタッフにとって、とても励みになります。来館者の60%を占める初来訪の方々によりよい経験をしていただくためにも、美術館の環境を改善し、質の高いプログラムと展示、それらと共鳴するユニークなライブパフォーマンスを提供し続ける必要があります。これまで以上に努力しています」と述べている。
この制限処置によって毎週火曜日と3つの祝日を閉館日としているルーブル美術館だが、2023年には最大で930万人の入場者を見込んでいる。
2022年にルーブルに来館した780万人の内訳を見ると、60%が初来訪者。また全体の30%がフランス人、70%が外国人観光客で、うち18%がアメリカから。アジアからの観光客については、「年末に若干の増加が見られたものの、実質的には皆無に等しかった」という。また、興味深いのは入場者の約半数となる45%が25歳以下であること。さらに、同館は毎週金曜日のみ午後9時45分まで開館しているが、来館者全体の約3%にあたる22万5千人が、金曜日の夜間に訪れていることがわかっている。(翻訳:編集部)
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