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今週末に見たいアートイベントTOP5: シャネル・ネクサス・ホール「ある少女の哲学」、国立新美術館「DOMANI・明日展」ほか

関東地方を中心に、全国津々浦々の美術館・ギャラリーで今週末に開催される展覧会から、特におすすめのものをピックアップしてお届けする。

A girl philosophy ある少女の哲学 安珠 写真展(シャネル・ネクサス・ホール)展示風景。©CHANEL

1. DOMANI・明日展 2022–23 百年まえから、百年あとへ(国立新美術館)

近藤聡乃《『ニューヨークで考え中』第三巻プロローグ2(亜紀書房)》(2020) ©︎Kondoh Akino, courtesy the artist and Mizuma Art Gallery

世界と日本を見つめる10作家が表現する「揺らぎ」

文化庁が若手芸術家の海外研修を支援する「新進芸術家海外研修制度(在研)」の成果発表の場として、1998年から開催され続ける「DOMANI・明日展」。第25回目、2年振りとなる今回は、キャリア豊かな作家3名と、比較的近年に在研を終えた若手作家6名、そして、史上初の同館2度目の参加となる近藤聡乃を招いた。

1923年に起こった「関東大震災」から百年目の年に東京で開かれる展覧会として、「百年まえから、百年あとへ」と題し、「ゆれる/ゆらぐ地面、制度、価値観」という視点から、コロナ禍後の世代の人材育成、美術界のあり方を展示を通して考える。出品作家は大﨑 のぶゆき、谷中 佑輔、黒田大スケ、池崎 拓也、石塚 元太良、近藤 聡乃、北川 太郎、小金沢 健人、丸山 直文、伊藤 誠。 

DOMANI・明日展 2022–23 百年まえから、百年あとへ
会期:2022年11月19日(土)~2023年1月29日(日)
会場:国立新美術館 企画展示室2E(東京都港区六本木7-22-2)
時間:10:00 ~ 18:00 (金曜は~20:00、入場は30分前まで)


2. Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎(東京オペラシティ アートギャラリー)

Exhibition view of Taro Izumi, <>, Palais de Tokyo. Exhibition supported by SAM Art Projects. Photo by André Morin

複雑で不条理なキーワードとプロセスが絡み合うインスタレーション

1976 年生まれ、東京を拠点に活動する泉太郎の東京の美術館で初となる個展。泉は過去にパレ・ド・トーキョー(パリ、2017 年)、ティンゲリー美術館(バーゼル、2020 年に)で大規模な個展を開催するなど、国外でも高い評価を得ている。

映像、パフォーマンス、絵画、彫刻など、様々なメディアを使ったインスタレーションが特徴的な泉の作品は、複雑で不条理なプロセスを経て生まれている。本展では、古墳や陵墓、ストライキ、再野生化、仮病、鷹狩におけるマニング(懐なつかせる)やフーディング(目隠し)など、数々のキーワードが絡み合う思考のプロセスに、コスプレ、キャンプ、被葬のような体験を織り交ぜ、不可知に向き合い続けるための永久機関を立ち上げる。

Sit, Down. Sit Down Please, Sphinx.:泉太郎
会期:1月18日(水)~3月26日(日)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー(東京都新宿区西新宿 3-20-2)
時間:11:00 ~ 19:00 (入場は30分前まで)


3. A girl philosophy ある少女の哲学 安珠 写真展(シャネル・ネクサス・ホール)

《内省のはじまり 01》©Anju

真理を求める少女の、夢幻の物語

1980年代にパリコレのモデルとして渡仏し、その後写真家へと転身した安珠。以来、「少年少女の内なる世界」をテーマに、文章を織り交ぜた物語のある独自の作品世界を展開している。

本展は最新作約50点と映像、過去の作品を交えて展示する。「不思議の国のアリス」や「青い鳥」など、誰もが知る児童文学をモチーフに、ある少女が目にして、心に留めた出来事の内省を深めていく過程を写真で表現しており、不確かな現実に生きる少女が、真理を求め旅する夢幻の物語の世界が描き出されている。

A girl philosophy ある少女の哲学 安珠 写真展
会期:1月18日(水)~2月12日(日)
会場:シャネル・ネクサス・ホール(東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング4階)
時間:11:00 ~ 19:00 (入場は30分前まで)


4. マイケル・ホー、ス・ユーシン、⼭下紘加  (Blum & Poe)

マイケル・ホー、ス・ユーシン、⼭下紘加 Blum & Poe(東京)での展⽰⾵景画像、2023 年。 Photo: SAIKI © Michael Ho, Su Yu-Xin, Hiroka Yamashita, Courtesy of the artists and Blum & Poe, Los Angeles/New York/Tokyo

異なる文化的背景を持つ3人が描く、大地とその内在的な環境

中国からの移⺠ 2 世としてオランダに⽣まれ、ドイツで育ったマイケル・ホー、台湾・花蓮県⽣まれのス・ユーシン、兵庫県に⽣まれ、現在岡山を拠点とする⼭下紘加。それぞれ多様な⽂化的背景のもとに育ち、独⾃の道でアート界を歩んできた、1991 年⽣まれの 3 ⼈によるグループ展。

3人は、⼤地への回帰や、その内在的な環境をメタファーとして、あるいは、より奥の深い存在や認識の重層さを伝える存在として扱ってきた。作品の中で描かれる溶岩床、⼭々の境界地、洞⽳に差し込む薄明かりは、観る者を⼤地の深奥部へと誘う。本展では地上、地下、その境界を想起するような異なる階層を備えた近作群を展示する。

マイケル・ホー、ス・ユーシン、⼭下紘加
会期:1月20日(金)~3月11日(土)
会場:Blum & Poe(東京都渋谷区神宮前1丁目14-34 5F)
時間:12:00 ~ 18:00 


5. 挾土秀平 「土に降る」(寺田倉庫 )

《台風一過の晴天》Photo: ToLoLo studio

稀代の左官職人が土と向き合い、人間の原点に迫る

日本を代表する左官職人であり、NHK大河ドラマ「真田丸」の題字タイトルバックを手がけたことでも知られている挾土(はさど)秀平。一方、その技術をアートの世界に昇華させ、自然界の「土」「光」「水」と向き合いながら人間の原点に迫る作品を制作し続けている。

本展は、挾土が新たに挑戦した大型のステンシル作品を含む新作3点を公開。500平方メートル の会場には「土」を敷き詰め、大型作品が際立つ独自の展示空間に仕立てている。

挾土秀平 「土に降る」
会期:1月21日(土)~2月14日(火)
会場:寺田倉庫 G3-6F(東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫G号)
時間:12:30 ~ 17:30 (入場は30分前まで)


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