ルーブル美術館の大改修コンペが再開へ。SANAAと藤本壮介がファイナリストに
- TEXT BY TESSA SOLOMON
ルーブル美術館の大規模改修をめぐる国際建築コンペが、延期を経て再開される見通しとなった。SANAAや藤本壮介を含む最終候補5組による審査が5月中旬に行われる予定で、総額約1237億円規模の「ルーブル・ヌーヴェル・ルネサンス計画」が本格的に動き出す。

フランスのエマニュエル・マクロン大統領が主導するルーブル美術館の大規模改修プロジェクト「ルーブル・ヌーヴェル・ルネサンス計画」の審査委員会が、5月中旬に再開される見通しだ。その第一弾として、停止中の建築コンペティションが進められると仏紙ル・フィガロが報じた。
21人で構成される審査委員会は、イル=ド=フランス地域圏知事のマルク・ギヨームが委員長を務め、パリ市長や文化財総局長などの行政関係者のほか、アンヌ・デミアン、ベルナール・デムーラン、リナ・ゴットメら建築家、さらにニール・マクレガーやバイエラー財団美術館(バーゼル)館長のサム・ケラーといった国際的な美術館関係者で構成されている。
ファイナリストに選ばれたのは、アマンダ・レヴェット・アーキテクツ、アーキテクチャー・スタジオとディラー・スコフィディオ+レンフロの共同チーム、デュブイソン・アーキテクチャーとSANAAの共同チーム、ソウ・フジモト・アトリエ・パリ/藤本壮介建築設計事務所、ステュディオス・アーキテクチャーとセルドルフ・アーキテクツの共同チームの5社だ。
ル・フィガロによると、この審査は今年に入って職員によるストライキなどの混乱を受けて延期され、その後フランスの地方選挙の影響でさらに先送りされていた。審査委員会は5月13日に会合を開き、ファイナリストによる提案の審査を行う予定だという。
同紙は関係者の話として、人員不足や老朽化したインフラへの対応といった喫緊の課題を背景に、計画そのものが棚上げされるのではないかという憶測を払拭する狙いもあると伝えている。さらに、昨年10月にルーブルで発生した高額宝飾品盗難事件後の指導部の混乱も重なり、状況の不透明さは増していた。加えて、候補となった建築事務所には今年1月末に短期間での提案提出を求めたにもかかわらず、その後プレゼンテーション審査が無期限延期とされたことで、混乱に拍車がかかっていた。
こうした経緯を経て、新たなギャラリーやエントランスロビーの新設を含むルーブルの大規模近代化を主導する建築家が、まもなく発表される見込みだ。
先週には、新館長に就任したクリストフ・ルリボーと文化大臣カトリーヌ・ペガールが、パリおよびイル=ド=フランス地域圏の行政機関(プレフェクチュール)を訪れ、候補者の建築模型を視察したと報じられている。最終的にどのようなデザインが選ばれるかは依然不明だが、ペガールは「計画の一部は見直しや調整が行われ、別の部分は強化されるでしょう」と述べている。一方マクロンは、大改修は2031年の終了を目指しているがその実現可能性には疑問の声も上がっている
2025年1月にマクロンが発表したこのプロジェクトは、年間約900万人が訪れるルーブルの過密状態の解消を目的としており、総工費は7億7800万ドル(約1237億円)にのぼる。現在、最も議論を呼んでいるのが、《モナ・リザ》のための約3000平方メートルの新展示スペースの建設だ。2026年度の予算では、改修に向けた基礎調査に1億1600万ドル(約184億4400万円)、建物の技術的メンテナンスに1750万ドル(約27億8250万円)が計上されているが、そのうち作品の安全対策に充てられるのはわずか210万ドル(約3億3390万円)にとどまることが1月に明らかになっている。
こうした状況を受け、同月には3つの労働組合に属する約350人の職員がストライキを実施。《モナ・リザ》の移設計画よりも、長年先送りされてきた設備更新や建物の維持管理を優先すべきだと訴えた。
しかし、ストライキ以前からルーブルは内部的な混乱を抱えていた。2025年1月には、当時の館長ロランス・デ・カールが文化大臣に宛てた内部メモが流出し、構造的損傷や水漏れ、過密状態といった深刻な問題が起こっていることが明らかになった。同年10月には、約1億200万ドル(約162億1800万円)相当の宝飾品が盗まれる事件が発生し、最終的にデ・カールの辞任へと繋がった。(翻訳:編集部)
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