「アート界の汚染に加担」──イスラエル、ビエンナーレ審査員会の判断を非難
ヴェネチア・ビエンナーレの審査員会は、国際刑事裁判所(ICC)に告発された指導者のいる国家のパビリオンを審査対象から除外する方針を発表した。この判断をめぐり、イスラエルは「ボイコットに等しい」と反発している。
ヴェネチア・ビエンナーレの審査員会は4月下旬、国際刑事裁判所(ICC)から人道に対する犯罪で訴追されている指導者を抱える国のパビリオンを審査対象から除外し、各賞の選考対象としない方針を発表した。これに対しイスラエル外務省は、この方針を「ボイコット」であり「アート界の汚染に加担するもの」として非難する声明をXに投稿した。声明はこう続く。
「自由で境界のない思想が花開くオープンな芸術空間だったビエンナーレが、政治色を帯びた審査員会によって、反イスラエルに洗脳された大げさなイベントへと変えられてしまった」
イスラエル館の代表作家であるベル=シミオン・ファイナル(Belu-Simion Fainaru)もまた、審査員会を次のように批判している。
「審査員会の声明は、敵対的で品位を損なう環境を生み出しており、イスラエルの参加者にのみ不平等な条件を課しています。こうした点から、審査員会は越権的な対応を取っていると言えるでしょう。さらに、重大な違反が指摘されている他の国家が除外されていない点も看過できません。今回の方針は、法的根拠に乏しい恣意的な基準に基づき、基本的な平等原則に反しています」
これに先立ち、審査員会は、ICCに告発された指導者を抱える国家を審査の対象外とする決定について、「人権の擁護」であると位置づけていた。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領には、いずれも国際刑事裁判所から逮捕状が出されている。このためロシア館も審査対象外となる。ネタニヤフ首相はガザ地区での軍事行動、プーチン大統領はウクライナ侵攻を理由に、国際社会から非難を受けている。
両国の参加をめぐっては反発の声が相次いでいるが、主催者側はナショナル・パビリオンを芸術祭から除外することはできないとの立場を示している。イタリアが国家として承認する国は、展覧会への参加が認められているためだ。
現在の審査員会は、芸術監督を務めていたコヨ・クオの逝去を受け、運営側によって選出された。一方で運営側は、今回の声明について「審査員会メンバーが自らの意思で公開することを選んだもの」と説明し、組織としての方針とは切り分ける姿勢を示している。(翻訳:編集部)
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