ジェフ・クーンズの「バルーン・ドッグ」が粉々に! 破片にも価値!?
ジェフ・クーンズによる「バルーン・ドッグ」シリーズの小型作品が、2月16日の夜、マイアミのギャラリーでアートコレクターの女性に誤って倒され、粉々になった。壊してしまったコレクターにとっては幸いなことに、作品は保険にかけられていた。
壊された《バルーン・ドッグ(ブルー)》は20年前に制作された磁器製で、高さは38センチ。地元メディアマイアミ・ヘラルド紙が17日に報じたところによると、現代アートフェア「Art Wynwood」の一環で展示されていたという。
現場に居合わせた、地元のアーティストでアートコレクターのスティーブン・ガムソンはヘラルド紙にこう語っている。「作品が落ちた瞬間、ハイウェイで交通事故が起きた時のように大群衆が集まりました」
群衆は、これは事故なのか、それともパフォーマンスなのか混乱していたという。
この砕けた磁器の作品は、ロサンゼルスのブロード美術館にある、ステンレス鋼を鏡面研磨した高さ3.7メートルの《バルーン・ドッグ(ブルー)》のミニチュア版だ。クーンズは1994年から2000年にかけて、この彫刻を様々な色、サイズ、素材で複製した。
2013年には、大型の《バルーン・ドッグ(オレンジ)》が5千840万ドル(約64億円)で落札されたことは、当時のタイム誌の報道で詳しく紹介されている。
2016年にも磁器製の「バルーン・ドッグ」が壊されたが、クーンズはPage Sixが報じたように、作品や事件について、「このようなことが起こるのは残念ですが、ただの磁器の皿のようなものです。私たちは本当に幸運なんですよ。ちょっとした事故があって壊れても、交換できるんですから」と語り、気にしていないようだった。
クーンズは、今回の一件について、女性が触ってみたいという好奇心に負けたのだろうと推測している。しかし、彼女は作品の重要さが分かるであろうアートコレクターだ。
アートコレクターのスティーブン・ガムソンは、この割れた破片が大金になると信じており、その場で破片を買い取ると申し出ている。(翻訳:編集部)
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