元デスティニーズ・チャイルドのケリー・ローランド、現代アートオークションのキュレーターに
人気ガールズR&Bグループとして世界を席巻したデスティニーズ・チャイルド。そのメンバーだったケリー・ローランドが、3月9日にサザビーズ・ニューヨークで開かれる現代アートのオークション、「Contemporary Curated」でキュレーションを担当する。
サザビーズはこれまでも、俳優のロバート・パティンソンやオプラ・ウィンフリー、DJ・音楽プロデューサーのスティーブ・アオキといったセレブを、オークションのキュレーターに起用してきた。今回のオークションでローランドが選んだ具象画や抽象画の出品作は、有色人種のアーティストによるものが中心になるのが特徴だ。
プレスリリースでローランドはこう述べている。「私が子どもの頃に最初に好きになったアートは、自分が共感できる具象作品でした。というのも、周りの世界が自分とは違うように見えていたからです。今は、ステージで感じるような動き、エネルギー、色を融合させた、より抽象的な作品にも惹かれるようになりました」
ローランドが白羽の矢を立てたアーティストの1人に、アーニー・バーンズがいる。彼の代表作《The Sugar Shack》(1976)は、昨年クリスティーズのオークションで最高予想落札価格の76倍にあたる1500万ドル(約20億円)あまりで落札された実績がある。
ローランドが選んだバーンズ作品は、《The Dunk》(1998)と《Four Ladies with Gold Hat》(1998)の2点で、前者はバスケットボールを手に高くジャンプする女性を描いた作品だ。スポーツ奨学金で美術学校に通ったバーンズは、スポーツや黒人アスリートをテーマにした作品を数多く制作している。
「《The Dunk》には魂がこもっています。ダンクシュートしようとする女性の姿は、いい意味で激しく、力を与えてくれます」と、ローランドはプレスリリースで説明している。
「また、《Four Ladies with Gold Hat》は、私がテキサス州ヒューストンで過ごした日々を思い出させてくれる作品。子ども時代に生活の一部だったヘアサロンで、美しく、知的な黒人の女性たちと一緒に過ごした頃のことを」
このほか、スタンレイ・ホイットニーやロバート・ロンゴなども出品されるが、中でも人気を呼びそうなのが、レジー・バローズ・ホッジスの《Playing Reggae Records at the Pace House #2》(制作年不詳)だ。
また、クィアのアーティストから寄贈された作品の収益は、困難な状況にあるLGBTQ+の若者に住居などの援助を行うニューヨークの団体、アリ・フォーニー・センターに寄付される。これまでに、ドロン・ラングバーグ、サルマン・トゥール、ジェナ・グリボン、ハーマン・バス、フェリペ・バエザらが作品を提供している。(翻訳:清水玲奈)
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