ガゴシアンが欧州2拠点を閉鎖へ。相次ぐメガギャラリーの規模見直し

メガギャラリーのガゴシアンが、ロンドンの小規模拠点から撤退した。バーゼルの拠点も数カ月以内に閉鎖する予定で、世界の大手ギャラリーで相次ぐ拠点再編の動きに注目が集まっている。

2025年3月2日、カリフォルニア州で開催された、ヴァニティ・フェアのパーティーに出席したラリー・ガゴシアン。Photo: Cindy Ord/VF25/Getty Images for Vanity Fair

ガゴシアンが7月、ロンドンのバーリントン・アーケードに構えていた小規模な拠点を閉鎖した。さらに、スイス・バーゼルの拠点も今後数カ月以内に撤退する予定だという。アートニュースペーパーが伝えた。

「好機がなければ、それで構わない」

両拠点はもともと、好条件の賃貸物件を活用したポップアップスペースとして開設され、その後、通年で展覧会を開催する常設拠点へと移行した。同ギャラリーの方針に詳しい関係者は、創業者ラリー・ガゴシアンの拠点運営に対する姿勢について、US版ARTnewsに次のように語っている。

「ラリーの考え方は、『よい機会があれば、それに越したことはない。なければ、それで構わない』というものです」

2023年にオープンしたバーリントン・アーケードの拠点は、ガゴシアンがロンドンに展開する複数のスペースのなかで最も小規模だった。1階には書籍やエディション作品、アーティスト公認のグッズなどを販売するショップが入り、2階には顧客向けの内覧室に近い小規模な展示スペースが設けられていた。

同拠点ではこれまでに計16本の展覧会が開催され、最後となったクリストとジャンヌ=クロードのサイトスペシフィック・プロジェクトに関連する展覧会は7月18日に閉幕した。撤退は、物件の所有者が長期契約の商業テナントを誘致することになったためだという。これにより、ガゴシアンのロンドン拠点は、メイフェア地区のグロブナー・ヒルとデイヴィス・ストリートの2カ所となった。

バーゼルの拠点は2019年、アート・バーゼルの開催に合わせたポップアップスペースとして開設された。その後常設化され、これまでに計17本の展覧会を開催している。ガゴシアンは現在、市内でほかの物件を検討しており、バーゼルに新たな拠点を構える選択肢がなくなったわけではない。

欧州の2拠点からの撤退は、ガゴシアンが事業全体を縮小していることを必ずしも意味しない。ほかのメガギャラリーが拠点の床面積を削減するなか、ガゴシアンは今年4月にニューヨークに新たな旗艦ギャラリーを開設したばかりだ。

ガゴシアンは約40年にわたり、980マディソン・アベニューの上層階にギャラリーとオフィスを構えてきた。しかし、ブルームバーグ・フィランソロピーズ(Bloomberg Philanthropies)が同ビルの大部分を取得したことを受け、2025年初頭に上層階から退去。その一方で、同じ建物の路面階と地下に新たなスペースを確保した。2階層からなる新拠点の総面積は、約1100平方メートル。近隣の976マディソン・アベニューに設けていた仮設スペースと、980番地の上層階で担っていた機能を集約したものとなる。

ラリー・ガゴシアンは、維持する価値がないと判断した拠点については、失敗だったと率直に認めることもいとわないようだ。2016年から2020年までサンフランシスコにギャラリーを構えていたが、今年初めにELLE DECORの取材でこう振り返っている。

「全くうまくいかなかった。誰も来なかったんだ。本当に気が滅入るような状況だった」

オープニングのために飛行機で現地を訪れても、ギャラリーには誰もいなかったという。ガゴシアンはその光景を前に、「自分はいったいここで何をしているんだ」と、実際にはもう少し荒っぽい言葉で自問したと明かしている。

メガギャラリー間で広がる規模見直しの動き

ガゴシアンが欧州の2拠点を閉鎖する背景には、メガギャラリーのあいだで、保有・賃借する物件を広く見直す動きがある。デイヴィッド・ツヴィルナーは最近、ニューヨークのアッパー・イースト・サイドで約10年にわたり運営してきた東69丁目34番地のタウンハウス型ギャラリーを閉鎖した。同ギャラリーによると、撤退は以前から計画されていたもので、チェルシー地区の拠点拡張が完了したことを受けた措置だという。同ギャラリーは近年ニューヨークでの活動をチェルシーに集約しているが、西19丁目と西20丁目のギャラリーに加え、トライベッカのウォーカー・ストリート52番地でも引き続き拠点を運営している。

一方、ペース・ギャラリーは、より明確な規模縮小に乗り出している。人員削減と所属アーティストの大幅な整理に続き、ロンドンのハノーバー・スクエアにある約800平方メートルの物件を再び賃貸市場に出し、現在はより小規模なスペースを探している。(翻訳:編集部)

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