フェルメール作品の“複製画“が実は“本物”と判明? 科学専門家が断言
アメリカ・フィラデルフィア美術館に所蔵されている絵画1点が、研究者の調査により、フェルメール作の可能性があることが発表された。
アート・ニュースペーパー紙によると、元アムステルダム国立博物館の科学専門員、アリー・ウォーラートが、最近行われたシンポジウムで、フィラデルフィア美術館が所蔵する、17世紀末に制作されたモノクロの複製画《ギターを弾く女》が「フェルメールの絵だ」と断言したという。彼は、「 フィラデルフィア美術館では、この絵画を、ロンドンのケンウッド・ハウスが所蔵する1672年頃のフェルメール作品の複製であると記していますが、それは誤りです」と話す。
ケンウッド・ハウスの《ギターを弾く女》には楽器を演奏する女性が描かれており、フィラデルフィア美術館のものと比べると、女性の髪型が違うだけで構図も題材もほぼ同じだ。
フィラデルフィア美術館側は声明を発表し、その中で、ディレクターのサシャ・スダはこう述べている。
「フィラデルフィア美術館所蔵の《ギターを弾く女》を、継続的に調査してくださったことに感謝しています。今、美術館では、この芸術作品が地上に残り、私たちの手元にあるという信じられない出来事と、歴史的な芸術作品が時を超えて人々や考えを結びつけるということについて話し合っています。《ギターを弾く女》は今後、よく議論し、学術機関による研究を受け入れ、制作から350年近く経ったこの神秘的な絵画から、より多くの知識を得たいと考えています」
一方、アリー・ウォーラーは、フィラデルフィア美術館の作品が「ショッキング」な状態にあるとも話す。同美術館ディレクターのスダも、「1930年代にコレクションに加わったこの絵は、これまでの保存状態の悪さから、現在は 『非常に危険な状態 』です」と明かす。
現在フェルメール作と断定できる絵画は世界で37点しかない。そのうちの28点が、現在入場券が完売し話題となっている、アムステルダム国立博物館の大回顧展で見ることができる。昨年、ワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵の絵画1点が、調査の結果、フェルメール作ではないと判明した。しかし、アムステルダム国立博物館は、その作品をフェルメール作として展示している。(翻訳:編集部)
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