美術館の展示解説文、AIによる「執筆」を容認したのは9%、「アイデア出しまでなら可」は19%──米国博物館同盟の調査

米国博物館同盟の調査で、展示解説文の作成にAIを使うことへの慎重な姿勢が浮かび上がった。用途を問わず利用を認めた人はわずか9%。来館頻度の低下や来館者の多様化など、美術館・博物館を取り巻く変化も明らかになった。

メトロポリタン美術館の展示風景。2019年撮影。Photo: Andrew Lichtenstein/Corbis via Getty Images

米国博物館同盟(American Alliance of Museums、以下AAM)が2026年にアメリカ在住の成人を対象に実施した調査で、美術館・博物館が展示解説文の作成にAIを使うことに、大多数が慎重な姿勢を示していることが分かった。

展覧会を含め、館の職員が必要に応じてAIを使うことを容認した回答者は、わずか9%だった。一方、19%は、展示解説文のアイデア出しには使ってもよいが、実際の執筆には使うべきでないと回答。29%は、メールやウェブサイトの一般的な文章の作成には認めるものの、展示解説文には使ってほしくないと答えた。残る43%は、「展覧会もメールも含め、美術館・博物館が発信するコンテンツは、全て人間が制作するべきだ」と回答した。

展覧会の制作にAIを使う取り組みは、まだ広く普及しているわけではない。しかし、ニューヨーク・タイムズの報道によると、今後開催されるいくつかの展覧会では、AIの導入が予定されている。その用途は、壁面の解説文の作成に限らない。

たとえば、スミソニアン協会の国立アジア美術館は、テートが企画したホイッスラーの回顧展「James McNeill Whistler」(2027年2月12日〜7月11日)を同館で開催するのに合わせ、室内装飾《孔雀の間(Peacock Room)》を再現するVR(仮想現実)にAIを活用するという。

来館者数の回復遅れの一方、多様化の傾向も

AAMが公表した一連の調査結果は、来館者数の回復が遅れている問題にも触れている。2020年に始まった新型コロナウイルスのパンデミックで来館者数が大幅に落ち込み、多くの館にとって、その回復は長年の課題となってきた。各館の年間来館者数そのものを調べたものではないが、来館行動の分析からは、人々が美術館・博物館を訪れる頻度の低下が浮かび上がった。AAMは、次のように説明している。

「パンデミックが始まってからの6年間で、美術館・博物館を繰り返し訪れる頻度は、以前より低い水準で横ばいとなり、それが『新たな日常』になっています。人々の行動に、持続的な変化が生じたことを示しているようです。つまり、来館者数が伸び悩む原因は、人々が美術館・博物館に行くかどうかではなく、どれくらいの頻度で行くかにあるのです」

一方、来館者の多様化という明るい変化も見られる。従来、美術館・博物館の来館者は、アメリカ全体の平均に比べて白人や高齢者、高学歴の人の割合が高いとされてきたが、その傾向が変わりつつあるという。

調査によると、過去1年間に訪れた館が1館だけという人も含む、たまに来館する層では、大学の学位を持つ人は47%、ヒスパニックやラテン系ではない白人は35%、60歳以上は26%にとどまる。

また、非来館者も含めて属性別に比較すると、美術館・博物館に「全く行かない」と答えた割合が最も高かったのは白人で、反対に、行くと答えた割合が最も高かったのはアジア人とアジア系アメリカ人だった。年齢やライフステージ別では、過去1年間に来館した割合が最も低かったのは60歳を超える成人で、最も高かったのは未成年の子どもの親や保護者だった。

さらに、現トランプ政権が美術館・博物館の包摂的な取り組みを見直そうとするなかでも、市民の多くは、多様な人々の歴史や経験、視点を取り上げる展示や解説を望んでいるようだ。AAMは、調査結果についてこう説明している。

「若い世代やリベラル層が、多様な人々を包摂することに最も積極的な姿勢を示しています。ただし、どの年齢層でも過半数が包摂を支持しており、保守層でも同様です」(翻訳:編集部)

from ARTnews

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