カレン&クリスチャン・ボロス(Karen and Christian Boros)

拠点:ドイツ・ベルリン
職業:広告業
収集分野:現代アート

カレン・ボロスとクリスチャン・ボロスの2人は、実験的なものやこれまでにない作品など、他のコレクターが敬遠しがちなアートの収集で知られている。ドイツ広告業界の大物であるクリスチャンは、2007年にニューヨーク・タイムズ紙のインタビューでこう語った。「最初は難解だと感じるアーティストが好きだ。私を挑発し、私が当たり前だと思っていることに疑問を投げかけ、新しいものを見せてくれるアーティストがいい」

2000年代初め、700点を超える現代アートのコレクションを収蔵する場所を探していた夫妻は、機関車工場や使われなくなったプールなどを見て回っていた。結局2003年に購入を決めたのは、ベルリンの中心にあるナチスの軍事施設だった場所だ。1990年代にはレイブやセックスパーティーが開かれ、「世界で最も過激なクラブとして評判だった」(同コレクションのウェブサイトより)という。ベルリンの設計事務所、リアールアーヒテクトゥーアがこの場所を改修し、夫妻は屋上に設けられた風通しの良いガラスのペントハウスで息子と暮らすようになった。

2008年にオープンしたこのスペースは、初回の展覧会でオラファー・エリアソン、ロバート・クスミロフスキー、サラ・ルーカスなどの作品を展示し、その後4年間で約12万人の来場者を集めるという人気ぶりだ。一度に12人しか入場できないためチケットは予約制だが、何週間も前に売り切れてしまうことも多い。

ボロス夫妻は今も、ヤン・ヴォー、エリザベス・ペイトン、ウォルフガング・ティルマンスなどを中心に、コレクションを充実し続けている。2015年にニューヨーカー誌のライターがコレクションを訪れたときには、「ミヒャエル・セイルストルファー作の、回転しながらゆっくり崩壊していくゴムタイヤ」に遭遇したという。

コロナ禍に見舞われた2020年には、ベルリンの有名なクラブ、ベルグハインでの展覧会開催に協力。100人以上の地元アーティストの作品が公開された。

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