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活動家らによるアートアタックに対し、イタリアが厳罰化。最高で約900万円の罰金

イタリアの議会で、同国の文化省が提案した、国内のモニュメントや文化施設に破壊行為を及ぼした個人に多額の罰金を科し、修復費用を負担させるという法案が可決される見込みだ。

イタリアの文化大臣、ジェンナーロ・サンジュリアーノ。2023年2月撮影。Photo: Getty Images

この動きは言うまでもなく、昨年、世界各地で起こった環境活動家たちによる美術館及びその収蔵作品をターゲットにした抗議活動を受けてのもの。

右派が大勢を占めるイタリア議会でこの法案が可決されれば、今後、同国の文化遺産を侵害する可能性のある者に対し、10,000~60,000ユーロ(約150万〜約900万円)の罰金が課されることになる。

ジェンナーロ・サンジュリアーノ(Gennaro Sangiuliano)文化大臣は、最近の破壊行為の例として、1月にイタリア上院の建物で行われた抗議活動を挙げた。この抗議活動を主導したのは、それまでも美術館の美術品を定期的に標的にしてきた環境活動家グループ「ラストジェネレーション」。このグループは、深刻な気候変動に対して政府が無策であるとして、ローマにある15世紀の建物、Palazzo Madamaの外壁をスプレーでオレンジ色に塗り、損壊を与えた。これによって、ファサード清掃費に4万ユーロ(約580万円)がかかっている。

当時ラストジェネレーションは声明で、「この行為の背景には、生態系の崩壊に対する絶望感がある。これまで以上に憂慮すべき統計やデータが発表され続けている」と述べ、気候危機への対応が遅れている政府に対し、圧力をかける目的で行ったと語っている。

こうした抗議活動は今月初めにも起こっており、化石燃料に抗議する活動家が、イタリアの彫刻家ピエトロ・ベルニーニによる17世紀の噴水「ラ・バルカッチャ」の水を黒く染めたが、警察に制止された。

サンジュリアーノは提案に際し、「モニュメントや芸術的な場所への攻撃は、すべての人に経済的損害を生み出す。これらの行為を行う者は、経済的な責任も負うべきだ」と話している。

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