クリスティーズがレンブラントの未公開作品2点を出品。専門家も驚きの知られざる肖像画
英国人一族のプライベートコレクションから、17世紀オランダの巨匠レンブラントによる未公開の肖像画2点が発見され、7月に行われるクリスティーズ・ロンドンのオークションに出品されることが分かった。
この作品は、クリスティーズの専門家が定期的に行っている査定で発見された。1635年頃に描かれた約20センチの絵画には、オランダの都市ライデンの老夫婦、ヤン・ウィレムス・ファン・デル・プルイムとヤープゲン・カールズが描かれている。
クリスティーズのオールドマスター絵画国際副委員長、ヘンリー・ペティファーは、この発見についてフィナンシャル・タイムズにこう語っている。
「この作品は、レンブラントの文献にまったく載っていませんでした。驚くべきことに、これまで一度も研究されたことがなかったのです。私は、このような作品に出会えるとは思っていませんでした」
予想落価格は626万~1,000万ドル(約8億円~13億円)で、ニューヨークとアムステルダムで展示された後、7月6日のクリスティーズ・ロンドンのオークションに出品される。出品者の非公開の英国人一族は過去、1824年にコレクションを販売しており、今回が2度目となる。
この絵のモデルとなったファン・デル・プルイムとカールズは、レンブラントと家族ぐるみの付き合いがあり、彼らの息子ドミニクスはレンブラントの叔父の娘と結婚した。
クリスティーズは、この絵画が本物のレンブラント作品であることを証明する十分な情報を入手できたと述べている。また、アムステルダム国立美術館にも写真を送り、専門家による調査を依頼したが、同じ結論に至ったという。
しかし、今回の肖像画は、レンブラントのオークションにおける新たなベンチマークとはならないだろう。現在のレンブラントの最高額は2009年に落札された、《両手を広げる男の肖像》(1658)の3320万ドル(現在の為替で約45億円)であり、2007年の《大ヤコブ》(1661)が達成した2580万ドル(約35億円)に次ぐ記録となっている。
しかし、レンブラントの絵画や、ほかの多くのオールドマスターの作品は、一般公開されていない場所でさらに高額で取引されることがよくある。2016年、クリスティーズは、レンブラントがオランダのマールテン・スールマンスとオーピェン・コピット夫妻をそれぞれ描いた珍しいペンダント肖像画を、8000万ユーロ(約118億円)でアムステルダム国立美術館とパリのルーヴル美術館に共同購入させている。(翻訳:編集部)
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