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ダイヤなど18世紀の財宝をドレスデンの宝物館から強奪。犯罪組織「レンモ」の一味に有罪判決

ドイツ東部ドレスデンの宮殿内にある宝物館から18世紀の財宝が盗まれた事件で、犯罪組織のメンバー5人に有罪判決が下され、うち3人に6年の刑期が言い渡された。

警察官に伴われて高等裁判所の建物内に入るドレスデン宝物館盗難事件の容疑者。Photo: Robert Michael/dpa-Zentralbild/dpa (Photo by Robert Michael/picture alliance via Getty Images)

2019年11月25日早朝、これまでも多数の強盗事件を起こしたことで知られるドイツの犯罪グループのメンバー5人が、「緑の円天井(Grünes Gewölbe)」と呼ばれるドレスデンの宝物館に侵入し、貴重な財宝を盗み出した。

ドレスデンの検察当局によると、5人は武装強盗、放火、傷害の容疑で判決を受け、事件当時未成年だった2人の被告には、それぞれ5年と4年4カ月の刑期が言い渡された。また、事件に関係すると見られる約40人が、現在も当局から指名手配されている。有罪判決を受けた窃盗犯が所属するのは、ベルリンを拠点とする「レンモ家」という広域犯罪組織で、数々の組織犯罪に関与しているとして捜査の対象になっている。

今年1月、ラビエ・レンモ被告は、宝物館にある10の部屋の1つ、ジュエル・ルームに、窓の柵を破って侵入したと供述。この部屋には、18世紀のザクセン選帝侯で、ポーランドやリトアニアの君主でもあったアウグスト強王によって収集された3000を超える宝物があった。犯人たちは斧で陳列ケースのガラスを壊し、21点の宝石類を奪って逃走。その間わずか5分だったという。

ザクセン王家が略奪・収集した宝物の中には、4300点あまりのダイヤモンドが含まれており、その総額は1億1400万ユーロ(約170億円)にのぼるという。ドレスデン美術館・博物館群の総責任者、マリオン・アッカーマンは事件発覚直後の会見で、「この窃盗犯の悪質さにどれほどショックを受けているか、言うまでもないでしょう。盗まれたの品々の文化的、歴史的価値は計り知れません」と語った。

ドレスデン警察は、司法取引の可能性について被告と話し合いをする中で、歴史的財宝の「かなりの部分」を回収したという。しかし、中には破損しているものもあり、依然として所在が分からないものも残っている。裁判長のアンドレアス・ジーゲルは声明で、「世界有数の歴史を持つ非常に価値の高い宝物」の窃盗事件が起きたのは嘆かわしいことだと述懐している。(翻訳:石井佳子)

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