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ロートレックの絵画に血のり。ドイツの美術館でもアートへの攻撃

10月30日、ドイツ・ベルリンの美術館で、ロートレックの絵画に血のりがかけられる事件が起こった。

ベルリンのアルテ・ナショナルギャラリー  Photo by Sean Gallup /Getty Images

最近の気候変動へドイツの抗議行動を彷彿とさせる出来事だが、当局はまだ攻撃の動機を発表していない。警察に拘束された人物は、作品の横の壁と自分の手を接着剤で貼り付けていた。 

標的にされた作品は《道化師》(1886-87)で、現在はの同美術館の修復工房で検査を受けている。絵画の状態について、プロイセン文化財財団のヘルマン・パルツィンガー代表は、声明で「大きな損傷はない」と発表している。 

パルツィンガー代表は、通信社dpaの取材に対して、「芸術に対するこのようなモラルセンスのない攻撃に衝撃を受けた。今回の場合は、環境活動家グループによる仕業ではないだろう。今後、所蔵の美術品を保護しつつも出来るだけ快適な環境で作品を鑑賞してもらうため、スタッフ一同できる限りの努力をする」と話した。 

この事件は、10月23日、クロード・モネの絵にマッシュポテトをかけたグループ「レッツェ・ゼネラチオン」の抗議行動と似ているように思える。 彼らは英国を拠点とする「ジャスト・ストップ・オイル」の手法を踏襲している。

ジャスト・ストップ・オイルは10月14日、ロンドンのナショナル・ギャラリーでゴッホの《ひまわり》にトマトスープを投げつけ、27日には(ジャスト・ストップ・オイルのシャツを着た活動家が)フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》に自分の頭と絵画を接着し、赤い液体をかけようとした。 

今回のアルテ・ナショナルギャラリーの事件と同じ10月30日、レッツェ・ゼネラチオンのメンバーが、ベルリン自然史博物館の恐竜の骨格標本の横の手すりに自分の体を貼り付けた抗議行動を起こしている。同団体は声明で、「当時の恐竜と同じように、私たちも耐えられないほどの気候変動に脅かされている。絶滅の危機に瀕しているのを見たくなければ、今すぐ行動を起こさなければならない」と主張した。この2件とも、ベルリン市は不法侵入と器物損壊で告訴している。

アルテ・ナショナルギャラリーは清掃のために休館したのち、11月1日から再開された。(翻訳:編集部) 

*from ARTnews 

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