SHEIN(シーイン)が「フリーダ・カーロ・コレクション」をローンチ。商標権争いの新たな火種に?
ファストファッションの一大勢力となっている中国のオンラインショップ 、SHEIN(シーイン)は10月20日、メキシコの芸術家フリーダ・カーロにインスパイアされた新コレクションを発表した。
しかし、このコラボレーションには問題がある。SHEINがコラボしているのはパナマに本社を構える「フリーダ・カーロ社」で、同社は商標権や財産権をめぐって10年近くもカーロの親族と争っているのだ。
今回のSHEIN×Frieda Cahloコレクションは、長年続くフリーダ・カーロ社とカーロの親族間の新たな火種になりそうだ。
1954年、フリーダ・カーロは遺書もなくこの世を去り、カーロの財産権は、メキシコの法律に従って姪のイソルダ・ピネド・カーロに相続された。
そして、2003年にイソルダ・ピネド・カーロの娘であるマリア・クリスティーナ・ロメオ・ピネドが、これらの権利を相続した。翌年、ロメオ・ピネドらは「『フリーダ・カーロ』ブランドの世界的なライセンス提供と商業化」を目的とする「フリーダ・カーロ社」を設立した。
しかし近年は、ロメオ・ピネドとその娘であるマラ・デ・アンダ・ロメオがフリーダ・カーロ社と分裂し、カーロの肖像権などのライセンス権や商標権をめぐって争っている状況である。
2018年、マテル社がフリーダ・カーロのバービー人形を発売した際には、コラボレーションを請け負ったフリーダ・カーロ社に対して、ロメオ・ピネドらはその権利がないとメキシコの裁判所に訴えた。その結果、国内では販売中止となったが、海外では販売され、完売した。
21年7月には、フリーダ・カーロ社とプーマが発表したカーロをモチーフにしたコレクションに対し、販売中止を求めてフロリダ州に裁判を起こしている。結果、その訴えは却下された。
一方、SHEINは他のファストファッション企業がこれまでに糾弾されてきた問題をそのまま受け継ぎ、度重なるデザイン盗用疑惑や労働搾取の疑いで批判を浴びている。 10月17日には、英国のテレビ局チャンネル4の調査ドキュメンタリーの中で、SHEINの工場で労働時間が定められていないことや、労働者の賃金は服一着につきわずか約6円であることが明らかにされたばかりだ。(翻訳:編集部)
*US版ARTnewsの元記事はこちら。