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環境活動家による名画攻撃、なぜ? 次はフェルメールの《真珠の耳飾りの少女》に頭とスープ

10月27日、ジャスト・ストップ・オイルのTシャツを着た活動家が、オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館に飾られているヨハネス・ フェルメールの名画《真珠の耳飾りの少女》にスープをかけた上、自分の頭を接着剤で貼り付けたり手を絵の横の壁に接着させたりした。

オランダ・ハーグのマウリッツハイス美術館でヨハネス・フェルメールの《真珠の耳飾りの少女》の前に立つジャスト・ストップ・オイルのメンバー  Twitter Video Screengrab.

この様子の動画は、活動家によってツイッターに投稿された。絵画に糊付けや液体を投げつける気候変動抗議行動は6月下旬から始まり、その多くはイギリスの気候変動活動団体ジャスト・ストップ・オイルが行い、ドイツやイタリアの他の活動団体も参加するようになった。

10月に入ってからは、活動家がロンドン・ナショナル・ギャラリーゴッホ《ひまわり》にトマトスープを投げつけ、その数日後には、ドイツの美術館でモネ《積みわら》にマッシュポテトが投げつけられており、抗議行動が激化しているようだ。 

今回の行動の活動家は、ジャスト・ストップ・オイルのTシャツを着ていたが、ジャスト・ストップ・オイルに属しているかは定かではない。

彼らはガーディアン紙のインタビューに対して、「美しく貴重なものが目の前で破壊されるのを見たとき、どのように感じますか。『憤り』を感じますか? 地球が破壊されるのを見た時に、同じように感じませんか? 」と答えている。 

《真珠の耳飾りの少女》が破損しているかどうかについては、まだ情報が無い。しかし、これまでの抗議行動の対象となった作品には、今のところ被害はなく、破壊は活動家の意図するところではない。 

世界的な環境活動家グループ「Extinction Rebellion」の共同創設者であり、ジャスト・ストップ・オイルの活動に加わっているサイモン・ブラムウェルは、アートニュースのインタビューで、若い活動家がこの抗議行動のスタイルを選択した理由を次のように説明する。 

「これはアートの美しさを否定するのではなく、今の私たちの優先順位が絶対的におかしいということを言いたいのです。アートに美を見出し、ギャラリーを訪れる人たちがいる。にもかかわらず、消えつつある太古の森の美しさや、日々絶滅していく何百もの生物たちには目を向けないのです」(翻訳:編集部) 

*US版ARTnewsの元記事はこちら。   

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