資産約1兆5500億円が吹き飛ぶ──LVMH創業者で大アートコレクターのベルナール・アルノー
LVMHの創業者、ベルナール・アルノーの資産が、株価急落により1日で約112億ドル(約1兆5500億円)目減りしたとブルームバーグが伝えた。5月23日にLVMHの株価が5%下落したことによるもの。
これだけ資産が目減りしたとはいえ、ベルナール・アルノーは依然として世界一の大富豪だ。しかし、第2位のイーロン・マスクとの差は縮まっている。
ルイ・ヴィトンやモエ・エ・シャンドン(シャンパン)、ヘネシー(コニャック)などを傘下に持つ高級ブランドコングロマリットのLVMHだけでなく、エルメスやグッチなどのブランド株が軒並み下落したのは、米国市場の高級品需要後退が懸念されたためだ。
とはいえ、昨年来、高級ブランド株は急伸していた。そのため、今回の下落後もLVMHの株価は昨年同時期と比べて23%の上昇になっている。今年に入ってからだけでも295億ドル(約4兆700億円)もの資産増となり、4月発表のブルームバーグ・ビリオネア指数で世界一の座を奪還したアルノーのような大富豪にとっては、取るに足らない目減りだろう。
アルノーは、ルイ・ヴィトンと草間彌生のコラボなど、LVMH傘下のブランドとアーティストとのコラボをたびたび行っている。また、妻のエレーヌとともに著名なコレクターとして、長年にわたりアート界で大きな存在感を示してきた。アルノー夫妻は、US版ARTnewsが選ぶトップ200コレクターズの中で最も裕福なカップルで、同じ高級品市場のライバル、ケリングのオーナーであるフランソワ・ピノーとは、アートコレクターとしても、つばぜり合いを繰り広げている。
アルノーのアート界への最も大きな貢献は、2014年に設立した現代アートの美術館、フォンダシオン ルイ・ヴィトンだ。パリのブローニュにあるフランク・ゲーリー設計のこの美術館では、最近の「モネ-ミッチェル」展や今回の「バスキア×ウォーホル」展など、2人のアーティストに焦点を当てた大規模展をたびたび開催している。
アルノーとアート界とのつながりは深く、昨年秋には、LVMHの次の買収先はメガギャラリーのガゴシアンではないかという噂が流れた。ガゴシアンはこれを否定している。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews