7万円で購入したバスキアの複製品を16億円で販売⁉ アメリカの美術商が禁固刑に
フロリダ州パームビーチの美術商ダニエル・ブアジズが、ジャン=ミシェル・バスキア、アンディ・ウォーホル、バンクシーの複製品を本物として販売した罪で、連邦刑務所で27カ月の禁固刑、その後3年間の保護観察処分を受けた。
アルジェリア出身のブアジズは、2021年12月、パームビーチにある自身のギャラリー、ダニエリ・ファインアートがFBIの捜査を受け、詐欺を行ったとして2022年5月に逮捕された。
起訴状によると、ダニエリ・ファインアートでは、オークションサイトから安価な複製品を購入し、それをオリジナルと称して高額で販売していた。具体例を挙げると、彼はLiveAuctioneersで495ドル(約7万円)で購入したバスキアの複製品をギャラリーで扱い、FBIの覆面捜査官に1200万ドル(約16億円)で販売した。
彼は本物に見せるため証明書類を偽造し、「ダニエル・ブアジズ、認定国際美術鑑定士」と署名した偽の鑑定書を発行していた。刑事告訴の宣誓供述書によると、バスキア作品の認証委員会が、この絵を複製品であると確認したという。
また、ブアジズは、偽造したアンディ・ウォーホルのサイン入り作品を7万5000ドルから24万ドル(約1460万円~3340万円)で多数販売し、覆面捜査員にはロイ・リキテンシュタインの版画を2万5000ドル(約348万円)で売った。リキテンスタインのカタログレゾネに掲載された作品と購入品を比較したところ、色調に相違があることが判明している。
作品が本物かどうか不審に思ったブアジズの顧客が返金を要求したが、応じなかったため、この事件が明るみに出た。訴状によると、「ギャラリーの捜索令状の執行の前後で、購入した作品の真贋についてブアジズに問い合わせた購入者に対しては、何らかの返済を行っている」という。ブアジズに対しては1万5000ドル(約210万円)の罰金を支払うよう命じられている。(翻訳:編集部)
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