ナセル・D・ハリリ(Nasser David Khalili)
拠点:イギリス・ロンドン
職業:不動産業、投資家
収集分野:アラム語文書(紀元前535~324年)、各国のエナメル工芸品(1700~1900年)、メッカ巡礼に関するアート(700-2000年)、イスラム美術、明治期の日本美術、日本の着物(1700-2000)、スペインのダマスク柄金属細工(1850-1900年)、スウェーデンのテキスタイル(1700~1900年)
「私の収集熱は7歳のころからのものです。コレクターとして生まれ、コレクターとして死ぬと考えています」と、ナセル・D・ハリリはUS版ARTnewsに語ったことがある。元美術商で慈善家でもあるイギリス系イラン人の彼は、40年以上前から(ハリリ家の家族信託を通じて)イスラム美術(700-2000)、アラム語文書(紀元前535-324)、スウェーデンのテキスタイル(1700-1900)など、専門性の高い8つの分野の美術品を収集している。
そのコレクション数は2万8000点以上で、時代には2500年以上の幅がある。イスラム圏のものを挙げるだけでも、コーランの図版、装丁、陶磁器、金属工芸、科学関連品、武具、宝飾品、絨毯など幅広い。こうした所蔵品は、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館、サマセットハウス、大英博物館、ニューヨークのメトロポリタン美術館、アムステルダムのゴッホ美術館、オレゴン州のポートランド美術館など、世界の40以上の主要な美術館・博物館で展示されている。
ロンドンとジュネーブの倉庫にコレクションの大部分を保管しているハリリは、コレクターという言葉が曖昧な使われ方をされるようになったと苦言を呈し、こう語っている。「真のコレクターがするべきことは、ただ集めるだけでなく、保存し、研究し、出版し、展示することだと思います」。ロンドン各地に不動産を所有する彼は慈善活動にも熱心で、ユネスコの親善大使を務めている。また、彼のウェブサイトでは「世界の人々や国々の間に相互尊重と理解を促進する世界的な運動の主要な発言者」と紹介されている。