ARTnewsJAPAN

ピエール・ラグランジュ(Pierre Lagrange)

拠点:イギリス・ロンドン
職業:暗号資産投資、ヘッジファンド、紳士服仕立て(H. Huntsman & Sons)
収集分野:現代アート、戦後美術

ゴールドマン・サックスやJPモルガンでの勤務経験があるピエール・ラグランジュは、ジョナサン・グリーン、ノーム・ゴッツマン(戦後美術や現代アートのコレクター)と共同でヘッジファンドのGLGパートナーズを設立。同社は2010年、16億ドル(約2320億円)でマン・キャピタルに買収された。ゴッツマンは会社を離れたが、ラグランジュはマン・グループのシニアアドバイザーとして残り、2013年にはサヴィル・ロウのテイラー「H. Huntsman & Sons」を買収した。2015年の英デイリー・メール紙の報道によると、ラグランジュの純資産は、約5億ポンド(約825億円)とされる。

2012年、ラグランジュは、偽のジャクソン・ポロックの絵を1700万ドル(約25億円)で売りつけられたとして、ニューヨークのノードラー商会(現在は閉店)を提訴。その後和解したが、和解条件は公開されていない。ラグランジュの訴訟がきっかけとなり、ファッション界の大物でサザビーズ元会長のドメニコ・デ・ソーレも同商会を訴え、大きなスキャンダルになった。2018年にロブ・レポートのインタビューで高級車やオートバイへの情熱を語っている彼は、隔年でハーレー・ダビッドソンの大規模バイクツアーも行っている。インタビューでラグランジュはこう話している。「昨年、ポルトガルのロードラリーの最中に、3人の奴隷戦士の巨大な置物を買いました。1800年代の巨大なバロック様式のマイセンです。想像を超える素晴らしさで、人間がこんなものを作れることに感動しました。どこに行っても美しいものを見つけてしまうんです」。そのほか、ロスコのモノクロの小品や、息子と一緒に選んだエイブリー・シンガーの作品などのコレクションも紹介している。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

あわせて読みたい