凍った海の上に足場を組んで描いた? スウェーデンで2700年前の岩刻画を発見
5月上旬、スウェーデン南西部のブーヒュースレーンで約2700年前のペトログリフ(岩刻画)が見つかった。今回の発見にはこれまでにない特徴があり、研究者を驚かせている。
2千数百年前の人々が洞窟や岩壁に刻んだペトログリフ(岩刻画)には、帆船、動物、狩猟や採集、ダンスに興じる人間の絵などがある。
花崗岩の岩肌を削ると、下から真っ白の層が現れる。そのため、はっきりした白い線刻画は、数キロ先からも見ることができる。しかし、時間の経過と共にこうしたペトログリフは苔に覆われ、次第に忘れ去られていった。
スウェーデンのブーヒュースレーンでペトログリフの記録を行っている財団によると、今回ペトログリフが見つかった場所は、かつて海の波に洗われていた島の岩壁だ。この地域では、かつてより海面が12メートルほど低くなっているという。
そのため、船の上で岩に絵を刻んだか、海が凍っている時期に氷の上に足場を作ったのではないかと考えられる。研究チーム自体も、今では見上げるほどの高さのところに描かれた絵を調査するために足場を組んでいる。
ブーヒュースレーンの財団は声明で、「このペトログリフがこれまでとまったく異なるのは、現在の地表から3メートルほどの高さにあることだ」と説明している。「絵は、紀元前700年頃から800年頃までの海面の高さに沿った場所にあり、描かれているものも、その時代の様式と一致している」(翻訳:石井佳子)
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