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賞金1億円の京都賞をナリニ・マラニが受賞。「声なき者の声」を拾い上げるビデオアートが評価

インドのビデオアーティスト、ナリニ・マラニが、ノーベル賞の登竜門とも言われる京都賞を受賞した。賞金として1億円が授与される。

作品《My Reality is Different》の前に立つナリニ・マラニ。(イギリス・バースのホルバーン美術館にて、2022年撮影)Photo: Dinendra Haria/Anadolu Agency via Getty Images

マラニはインドにおけるビデオアートの草分けで、京都賞のプレスリリースによると、演劇、インスタレーション、ペインティング、ドローイングなど多岐にわたる彼女の活動は、以下のように評価されている。

「親しみやすい形式と多様な媒体を用いた夢幻的な空間を創出し、抑圧に苦しむ『声なき者の声』を多くの人々に届ける表現を開拓してきた。非欧米圏の美術家として、世界的に活動し続け、欧米を中心に作られた従来の美術観を見直す潮流に大きく貢献した」

マラニはインド(現パキスタン)のカラチ生まれ。インド・パキスタン分離独立時に難民としてインドにやってきた彼女は、ムンバイとパリで美術を学んだ。その後インドに戻り、インドの社会・政治問題を取り上げた作品を制作している。

京都賞は、昨年亡くなった京セラの創業者、稲盛和夫氏が設立した稲盛財団が1984年から運営する日本発の国際賞だ。先端技術、基礎科学、思想・芸術の3部門における功績を称え、毎年3人の科学者や芸術家・思想家を選出。受賞者には、メダルやディプロマのほか賞金1億円が授与される。

これまで思想・芸術部門では、ナム・ジュン・パイク安藤忠雄、ジョアン・ジョナス、三宅一生などが京都賞を受賞している。(翻訳:石井佳子)

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