ローマ教皇、《Piss Christ》のアンドレス・セラーノに「いいね!」ポーズ。バチカン美術館コレクションの50周年会合で
6月23日、ローマ教皇フランシスコは、バチカン美術館の近現代美術コレクション50周年を記念し、システィーナ礼拝堂で現代美術アーティストを招いた会合を開催した。
招待者の中にはアンドレス・セラーノの姿もあり、彼自身、「招待されてとても驚いた」とニューヨーク・タイムズ紙に語っている。1987年、セラーノは自らの尿で満たした容器にキリストの磔刑像を入れて撮影した写真《Piss Christ》を発表。保守派や宗教団体は、神を冒涜しているとしてセラーノを非難した。しかし、あれから長い年月が経ち、教会は物議を醸すようなものも含め、あらゆる種類の芸術への援助を行っている。教皇はセラーノに対して、「元気よく親指を立てて」祝福した。
バチカン美術館はミケランジェロやボッティチェリをはじめとする膨大なコレクションで知られているが、1973年に当時のローマ教皇パウロ6世が近現代美術コレクションを開設したことで、同館には、フランシス・ベーコン、マルク・シャガール、川内倫子といった芸術家の作品も所蔵されている。
今回の会合について、バチカンの文化・教育局で秘書を務めるポール・ティゲ司教は、「教会と芸術の関わりを深めるために、芸術家と音楽家を招待しました」とタイムズ紙に語った。具体的に誰が招待されたのかについてティゲは明かさなかったが、ベルギーの文化史家で作家のデイヴィッド・ヴァン・レイブルックによると、「数平方メートルの中にこれほど素晴らしい才能が密集していることは稀なこと」だったという。
会合で、教皇はアーティストたちに、「芸術を必要とし、自分たちの声を届ける力を持たない」貧しい人々を思い起こし、社会正義と環境問題に目を向けてほしいとメッセージを送った。(翻訳:編集部)
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