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クリムト最後の傑作に156億円。欧州の美術品オークション史上最高額を樹立

グスタフ・クリムトの《Dame mit Facher(扇を持つ貴婦人)》(1917-18)が、6月27日にサザビーズロンドンの近現代アートオークションで7400万ポンド(約136億円)で落札され、欧州の美術品オークション記録を塗り替えた。

グスタフ・クリムトの《扇を持つ貴婦人》(1917-18)。6月27日にサザビーズ・ロンドンのオークションで7400万ポンド(約136億円)という驚異的な高値で落札された。Photo: Courtesy Sotheby’s

落札額に手数料を加えたこの作品の総額は、8530万ポンド(約156億円)。事前の予想落札価格は6500万ポンド前後と見られていた。

これまで欧州の美術品オークションでは、2010年にサザビーズロンドンで6500万ポンドで落札されたアルベルト・ジャコメッティの《歩く男 I》が最高額だった。

扇を持つ貴婦人》は、1994年にサザビーズ・ニューヨークのオークションに出品されたのが最後で、そのときの落札額は1160万ドル(現在の為替レートで約17億円)と、今回の数分の1にすぎない。

サザビーズによると、1918年2月にクリムトが脳梗塞に肺炎を併発して亡くなったとき、この作品はアトリエのイーゼルに置かれたままになっていたという。

《接吻》(1907-08)や《アデーレ・ブロッホ=バウアーの肖像 I》(1907)に比べると知名度は低いが、《扇を持つ貴婦人》にはクリムトの最も重要な作品群に見られる、のびやかさと優れた技巧が余すところなく発揮されている。(翻訳:石井佳子)

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