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クリスティーズ、2023年上半期の総売上高は前年同期比23%減。地域別ではアジアのバイヤーが激減

世界最大のオークションハウスの一つ、クリスティーズは、7月12日に2023年上半期の総売上高を32億ドル(約4400億円)と発表。前年同期の41億ドル(約5700億円)から23%減、2021年上半期の35億ドル(約4800億円)からは9%減となっている。

2023年5月15日、クリスティーズ・ニューヨークのオークションで、ジャン=ミシェル・バスキアの《El Gran Espectaculo (The Nile)》が6711万ドル(約92億円)で落札された。Photo: Courtesy Christie's

2023年1月〜6月、クリスティーズのリアルとオンラインによるオークション売上高は27億ドル(約3700億円)。前年同期の35億ドル(約4800億円)から24%減という結果だった。

また、今年上半期のプライベートセールスの売上高は4億8400万ドル(約670億円)で、前年同期の6億ドル(約830億円)から2割減。2021年上半期の8億5000万ドル(約1180億円)に比べると半減に近い。プライベートセールスの落ち込みが大きくなっている一因は、ここ数年でアート市場における販売チャネルの多様化が進んだことにある。

クリスティーズのギヨーム・セルッティCEOは声明で、公開オークションとプライベートセールスの双方で売上が減少したのは、国際関係や経済などビジネス環境全般の厳しさが高価格帯のマーケットに影響を及ぼしているためと述べている。

同時に、市場が低迷する中でも販売率が87%に達しているのは明るい材料だとしている。この数字は2022年および2021年の上半期と同水準であることから、安定的な需要があると捉えられている。

なお、今年上半期にクリスティーズから作品を購入したバイヤーを地域別に見ると、39%が南北アメリカ、35%がヨーロッパ・中東・アフリカ、残る26%がアジアとなっている。アジアのバイヤーは、2021年上半期の39%から激減した。

近年は、アートコレクターだった慈善家の死後に遺されたコレクションを売却する動きが活発化しており、クリスティーズはそうした高額コレクションの販売から年間利益の大半を得ている。今年上期には、ジェラルド・ファインバーグ、サミュエル・アーヴィング・ニューハウス・ジュニア、ポール・G・アレン、アラン&ドロシー・プレス、ソフィ・F・ダンフォースなどの大規模コレクションがオークションにかけられ、その売り上げは9億2200万ドル(約1280億円)にのぼった。

一方、トップコレクターになる可能性のある顧客を開拓するため、新規の若いコレクター獲得に重点を置く方針は継続する。実際、2023年上半期には全バイヤーの31%が、250年の歴史を持つクリスティーズを初めて利用している。また、新規バイヤーのうち38%をミレニアル世代が占めた。(翻訳:清水玲奈)


注:記事中の円換算額は直近の為替レートによる。

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