北ロンドンの空きビルにバンクシーの新作現る! 桜の朽木に生い茂る緑と高圧洗浄機を持つ女性の姿
3月18日、バンクシーは自身のインスタグラムを通じて、イギリス・ロンドン北部イズリントン地区にある建物の壁に描いた新作を発表した。そこには、高圧洗浄機らしきものを持った女性の姿と、イズリントンの道路標識に使用されているのと同じ緑で壁にスプレーされた葉のようなシルエットが描かれている。
バンクシーは3月18日、1240万人のフォロワーを抱える自身のインスタグラムに、北ロンドンの住宅地に描いた新作壁画の画像を投稿した。この壁画には、高圧洗浄機を持った等身大の女性の姿が描かれており、彼女によって壁中に吹き付けられた緑色のペンキが、まるで壁の前に立つ樹齢40〜50年と思しき桜の朽木に生い茂る葉のようだ。
BBCラジオ4のポッドキャスト番組「The Banksy Story」のナビゲーターでバンクシーのスーパーファンであるジェームズ・ピークは、BBCラジオ4の番組「Today」の取材に対し、この壁画にはバンクシー作品であることを裏付ける「正しいテクニック」、つまり、「興味深く、伝わりやすいメッセージ」と「巧みな場所の選択」が全て備わっているとコメント。「もしこれがバンクシーでないなら、素晴らしい模倣だ」と続けた。
この壁画が描かれたビルを所有する会社の職員、アレックス・ゲオルギウは、3月17日(日)の夜にこの壁画のことを聞き、翌朝、実際に確認しに行ったという。この物件は現在空室であり、賃貸市場に出ている。ゲオルギウは興奮冷めやらぬ様子でガーディアン紙の取材にこう答えた。
「すでにあり得ないほど多数の人々が壁画を見に来ていて、それはもうすごかったです。でも問題は、この状況をどうするか。どうすればいいか見当もつきません。もちろん、壁画はこのままにしておいて人々が見に来れるようにしておくし、皆が喜んでいるのは素晴らしいこと。でも正直のところ、僕自身、まだ信じられないんです」
同じガーディアン紙の記事によれば、地元自治体であるイズリントン議会の落書き除去チームもすでにこの作品を認識しているが、現時点では除去する予定はないという。
バンクシーの壁画をめぐっては、今年2月26日、ニューヨーク・サウスブロンクスの建物に描かれた《Ghetto 4 Life》がコネチカット州ブリッジポートへと移転したことが話題となった。《Ghetto 4 Life》は、スプレー缶をトレイに載せた執事らしが人物の隣で「Ghetto 4 Life」というフレーズをスプレーで描く上品な少年が描かれた作品で、2013年10月、バンクシーが自身のレジデンスプログラム「Better Out Than In」の一環で制作した。
また昨年12月には、ロンドン南部のペッカム地区にある一時停止の道路標識に、軍事用ドローンが描かれたバンクシーの新作が発見された。バンクシーが自身のインスタグラムにこの画像を投稿すると、わずか1時間の間に2人の人物がボルトカッターと自転車を使ってこの道路標識を盗み去ったが、すぐに警察に捕まっている。
from ARTnews