アート・ドバイ、ウクライナ難民にチケット売上額の25%を寄付
アート・ドバイの主催者が、2022年の入場券売上額の25%をウクライナ戦争の被害者に寄付すると発表。今年のアート・ドバイは過去最高となる100あまりのギャラリーを集め、3月11日〜13日までドバイのリゾート地区、マディナ・ジュメイラで開催された。
発表が行われる前、トビリシから参加したギャラリー・アートビートの共同創設者、ジョージア人のナティア・ブキアが、ブースのテーブルにウクライナ国旗を広げ、ウクライナ国民との連帯を表明していた。
この静かな主張についてメディアからコメントを求められたアート・ドバイの代表は、アート・ニュースペーパーの取材に対して「私たちは、参加者がウクライナへの支援を表明することを支持する。また、アート・ドバイができることとして、今年の入場券売上額の25%をウクライナ難民の窮状を救うために寄付する」と答えた。
また、ザ・ナショナルに対して寄付はユニセフを通じて行われると明らかにしたほか、次のように述べている。「長年にわたって多くのチャリティ活動を支援してきたアート・ドバイ・グループとして、ウクライナ難民への資金援助呼びかけに協力すべきと考えている」。ただ、アート・ドバイの主催者が、中東地域や世界の人道的活動への寄付を公にした前例はない。
国連によると、ウクライナの戦争で200万人を超えるウクライナ難民が近隣諸国に保護を求める深刻な危機が起きている。2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始して以来、3月上旬時点で民間人の死者は少なくとも600人、負傷者は1000人あまりに達しているとされるが、国連は実際の被害はこれを上回ると推定している。
アート界では、アーティスト、オークションハウス、オンラインプラットフォーム、ギャラリーなどが、毎日のようにチャリティを行っている。特に注目を集めたのは、ロシア系オークションハウスのフィリップスが、ロンドンで開かれた近現代アートオークションの全収益をウクライナ赤十字社に寄付すると発表したことだ。その晩の収益は、総額580万ポンド(770万ドル)に達している。
さらに、NFTコミュニティもグローバルなネットワークを活用した募金活動、アート・フォー・ウクライナ(Art for Ukraine)を実施。参加アーティストが制作した作品が売れるたびに、特別に作成されたスマートコントラクトを用いてウクライナを支援する7つの慈善団体に自動的に収益が寄付されるというものだ。このほかにも、プッシー・ライオットのナジェージダ・トロコンニコワが、ウクライナ国旗のNFTへの入札を通じた寄付ができる暗号資産コミュニティ、ウクライナDAOを立ち上げている。
トロコンニコワは、メールによる声明で次のように述べている。「私たちが敢えて自分たちの作品を出品しなかったのは、このプロジェクト自体が強固でコンセプチュアルな芸術的ステートメントだから。人の趣味趣向はさまざまだが、重要なのは何色が好きかということではなく、命を救うために団結すること。ウクライナの国旗は私たちを団結させてくれる」(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年3月14日に掲載されました。元記事はこちら。