ゴッホやフェルメールだけじゃない! アムステルダムで行きたい美術館・ギャラリー20選【MAP付き】
ゴッホやフェルメール、レンブラントなどオランダ黄金時代を代表する巨匠たちはもちろんのこと、近年アムステルダムではポップアートやイマーシブアートなど、さまざまな領域のアートを扱う美術館・ギャラリーが増えている。有名美術館から新進ギャラリー、アートブック専門店まで、アムステルダムの奥深いアートシーンを象徴する20軒を厳選して紹介する。

- 1. Stedelijk Museum(アムステルダム市立美術館)
- 2. Foam Museum(Foam写真美術館)
- 3. Rijksmuseum(アムステルダム国立美術館)
- 4. Van Gogh Museum(ゴッホ美術館)
- 5. Moco Museum(モコ美術館)
- 6. Nxt Museum
- 7. Galerie Ron Mandos
- 8. GRIMM
- 9. Annet Gelink Gallery
- 10. Upstream Gallery
- 11. BorzoGallery
- 12. Reflex
- 13. P/////AKT
- 14. De Appel Arts Centre
- 15. Stigter van Doesburg
- 16. Marwan
- 17. Martin van Zomeren
- 18. Lumen Travo
- 19. Boekiw Woekie
- 20. Sans Serriffe
「オランダのアート」と聞けば、ゴッホやフェルメール、レンブラントなど偉大な画家を思い浮かべる人が多いかもしれないが、近年アムステルダムの現代アートシーンも活況を呈しており、世界の写真表現を牽引するメディア『Foam』や大規模没入型デジタルアートなど、その領域はさらに拡張している。
今回ARTnews JAPAN編集部はアムステルダムのアートシーンを俯瞰的に捉えるべく、17世紀オランダの黄金時代を彩った名作から最先端の表現までを扱う20の多様な施設を独断と偏見でピックアップ。必ず訪れたい有名美術館から気鋭ギャラリー、アートブックストアまで、ニューヨークやロンドン、パリとは異なる景色の広がるアムステルダムのアートシーンから、オルタナティブな息吹を感じ取ってほしい。
1. Stedelwijk Museum(アムステルダム市立美術館)
近現代美術とデザインを専門とする、アムステルダムを代表する美術館のひとつ。バスタブのような形状の建築で知られ、20世紀初頭から21世紀まで90,000点以上の作品を所蔵している。特にデザインのコレクションは充実しており、常設展でもヨーゼフ・ホフマンやヘリット・リートフェルトなど著名デザイナーの作品が展示されている。
過去の展示
- キース・ヘリング「Amsterdam Notes」
- ナン・ゴールディン「This Will Not End Well」
2. Foam Museum(Foam写真美術館)
写真を専門とするメディア『Foam』による美術館。3棟の建物内に大小さまざまな展示スペースが設けられており、ヘルムート・ニュートンやダイアン・アーバスといった大御所から新進気鋭の若手作家まで幅広い写真家の作品を展示。世界中から20名の若手作家を選出するプログラム「Foam Talent」は写真表現の現在地を示すものとして知られる。
過去の展示
- カーリン・ジェイコブス「眠れる森の美女」
- ヴィヴィアン・サッセン「PHOSPHOR: Art & Fashion」
3. Rijksmuseum(アムステルダム国立美術館)
中世から20世紀までのオランダ美術を中心に収蔵する同国最大規模の国立美術館。レンブラントの《夜警》やフェルメールの《牛乳を注ぐ女》など、オランダ黄金時代を象徴する絵画コレクションを有することで知られている。2021年にはオランダ帝国の奴隷制度にフォーカスした展覧会が開催されるなど、社会的なテーマを扱う展示プログラムにも注力。
過去の展示
4. Van Gogh Museum(ゴッホ美術館)
フィンセント・ファン・ゴッホの作品に特化した世界最大の美術館。作品のみならず多数のドローイングや書簡なども収蔵しており、ゴッホの人生を包括的に紹介している。常設展示には《ひまわり》《夜のカフェテラス》《じゃがいもを食べる人々》《糸杉》など代表的名作が並び、館内では同時代のアーティストの作品も展示されることで、多角的にゴッホの作品を理解できるようなプログラムが展開される。
過去の展示
5. Moco Museum(モコ美術館)
2016年に開館し、現代美術やストリートアート、ポップアートを鑑賞できる新進気鋭の私設美術館。バンクシーの《少女と風船》やKAWSの彫刻、草間彌生のインスタレーションなど、アイコニックな作品を多数展示。ARやインスタレーションを活用した没入型の展示プログラムも導入されており、幅広い世代が楽しめる美術館として知られている。
過去の展示
- バンクシー「Laugh Now」
- 「Studio Irma」
6. Nxt Museum
2020年開館のオランダ初の新メディアアート専門美術館。VR、AR、AI、投影マッピングなど最新テクノロジーを駆使した大規模な没入型インスタレーションを展開。アーティスト、科学者、技術者、ミュージシャンとのコラボレーションによる作品を制作・展示し、デジタル社会や人類の未来を探求する実験的な展示を行う。
過去の展示
7. Galerie Ron Mandos
20年以上の歴史を持つコンテンポラリーアートギャラリー。30名以上の国際的アーティストを擁し、大型インスタレーションから映像、絵画まで幅広く展示。毎年「Best of Graduates」展で美術大学卒業生の優秀作品を紹介するなど、若手育成にも熱心。社会や文化への鋭い視点を持つ作家を多数輩出。
過去の展示
- Isaac Julien「Once Again… (Statues Never Die)」
- Daniel Arsham「Wandering」
8. GRIMM
2005年創設の国際的ギャラリー。アムステルダム、ロンドン、ニューヨークに拠点を持ち、30名以上の現代アーティストを擁する。絵画、彫刻から映像、インスタレーションまで多様な表現を紹介。国際ギャラリー連盟や気候変動に取り組むギャラリー連合にも加盟し、業界内での社会的責任も重視している。
過去の展示
9. Annet Gelink Gallery
2000年設立の現代美術ギャラリー。新進から著名まで国際的アーティストを擁し、社会的・政治的テーマに切り込む先鋭的作品を積極的に展示。若手アーティストの育成に力を入れ、多くの作家を国際舞台へ送り出す。絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーション、パフォーマンスと幅広いメディアを扱う。
過去の展示
- Rezi van Lankveld「Imprintmain」
- Giorgio Andreotta Calò「When it's almost darkmain」
10. Upstream Gallery
2003年に開設した、急進的・社会的メッセージ性の強いコンセプチュアルアートとデジタルアートに特化したギャラリー。ネットアートの草分け的存在といえるJODIやNFTアーティストなど、テクノロジーを活用する作家を多く擁する。バーチャル展覧会やNFTプラットフォームも展開し、現代アートとテクノロジーの融合を推進。
過去の展示
- Rafaël Rozendaal「Manual」
- Alicia Framis & Ailex Sibouwlingen「The Hybrid Couple」
11. BorzoGallery
1924年創業のオランダ最古参の現代美術ギャラリー。20世紀のNul/ZERO運動、ミニマルアート、コンセプチュアルアートなど、戦後前衛美術に特化。歴史的作家と現代作家を対話させる展示で知られ、モダンとコンテンポラリーを架橋する独自の視点を持つ。ヤン・スフーンホーヘンなど欧州の重要作家の作品を扱う。
過去の展示
12. Reflex
1986年創業の老舗ギャラリー。写真とポップアートに強みをもち、荒木経惟、森山大道、デヴィッド・ラシャペルなど国際的写真家の作品も扱う。独自の出版部門「Reflex Editions」で写真集や限定本も刊行。セカンダリーマーケットにも精通し、限定エディション作品の販売や希少作品の調達に実績を持つ。
過去の展示
- Peggy Kuiper「The Conversation That Never Took Place」
- KAWS「Along the Way」
13. P/////AKT
非営利のアーティスト主導型展示スペース。実験的なソロプロジェクトに特化し、新鋭作家に大規模な発表機会を提供。各アーティストには空間全体を使った新作制作が求められ、商業的制約のない前衛的な企画を実現。多くの参加作家が後に国際的に活躍するなど、将来有望な才能の登竜門として機能。
過去の展示
- Laurel PS – Lorena Solís Bravo「The guest, the host & the ghost」
- 「Connecting Geographies #5, a project by Marjolijn Boterenbrood」
14. De Appel Arts Centre
1975年創立の現代美術センター。アーカイブ活用、キュレーター育成、教育活動を三本柱とし、実験的な展覧会を開催。世界最古級のキュレーター養成プログラムを運営し、150名以上の卒業生を輩出。社会的テーマに取り組む企画や地域コミュニティとの連携にも注力している。
過去の展示
- 「Our People are Our Mountains: Instructions for Placemaking」
- 「My Garden’s Boundaries Are the Horizon」
15. Stigter van Doesburg
2001年創業のコンテンポラリーアートギャラリー。女性アーティストの発掘と支援に特に力を入れ、多くの作家のキャリアを支援。絵画、写真、映像、パフォーマンスなど多様なメディアを扱い、ジェンダーやアイデンティティなど同時代的テーマに敏感な作品を積極的に紹介
過去の展示
- Dina Danish「Female Fatigue」
- Hans van der Ham「Facing Humanoids」
16. Marwan
アーティストが運営する実験的なプロジェクトスペース。商業的プレッシャーから解放された環境で、展覧会づくりそのものを問い直す試みを展開。緩やかな開廊時間設定で対話や思索を重視し、複数アーティストが参加するプロジェクト型の展示を多く手がける。De Appelなど外部機関とも連携し、アートコミュニティのネットワーク構築にも貢献。
過去の展示
17. Martin van Zomeren
2004年開設の先鋭的ギャラリー。Rijksakademieなど国際的レジデンスプログラム出身の才能を積極的に紹介。コンセプチュアルな写真、前衛的彫刻、実験的インスタレーションなど、挑戦的な展示で知られる。国内外のアートフェアにも積極参加し、若手作家の国際的な露出を促進。
過去の展示
18. Lumen Travo
1985年創設。アイデンティティや表象、ポストコロニアルな問題意識に焦点を当てる多文化的プラットフォーム。欧米以外の視点や移民背景を持つ作家の声を積極的に発信し、西アフリカや東南アジア出身のアーティストなど、グローバルな視点をもつ作家を多数紹介。美術館やビエンナーレとの連携も活発。
過去の展示
- Daniel de Paula「cannibal spirits / do violence to word」
- Yvonne Dröge Wendel「An Alphabet of a Practice」
19. Boekie Woekie
1986年に6人の芸術家グループによって設立されたアートブック専門書店。約7,000種の世界中のアーティストブックや自主制作出版物を取り扱う。自費出版や小規模プレスによる実験的な本を中心に、知名度に関わらずユニークな内容の本を積極的に発信している。店そのものを進行中のアート作品とみなすユニークな運営方針で知られている。
20. Sans Serriffe
2011年開店のインディペンデント系アートブックストア。アート、デザイン、理論書、Zineなど、批評性の高い書籍を中心に取り扱う。個人出版物に強く、地元クリエイターの少部数作品も多数展開。オーナーの図書館司書とデザイン講師としての経験を活かした選書で、アムステルダムのアート・デザイン界で重要な存在となっている。