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林玉霞、施俊兆(エイミー&レオ・シー/Amy and Leo Shih)

拠点:台湾・台中
職業:テクノロジー
収集分野:近現代アート、中国・台湾美術

台湾ハイテク界の大物、施俊兆(レオ・シー)は、見過ごされがちな世代である20世紀前半に活躍した中国人画家の作品を長年収集してきた。当時、中国は文化的変革期にあり、画学生たちはこぞって芸術の中心であったパリに向かったと、2020年に施は英フィナンシャル・タイムズ紙の取材に答えている。その中には、常玉(サンユウ)、シュー・ベイホン、リン・フェンミアン、ヤン・ウェンリャンなど、シーがコレクションしている作家も含まれていた。しかし、彼らが中国に戻った後、日本による占領や第2次世界大戦、共産党と国民党の内戦、文化大革命といった政治的激動があり、こうしたアーティストたちの作品は散逸してしまったという。

台中を拠点にコンピューターのハードウェアを開発してきた施が、初めてファインアートを購入したのは1992年、黄銘昌(ホアン・ミンチャン)の「水田」シリーズの1枚だった。また、サザビーズが台北から香港に拠点を移す以前の1999年には、サザビーズのオークションで常玉の絵を落札している。

施のビジネスが拡大するにつれて所有作品の数も増え、今では中国と台湾の現代アートを中心に、ナム・ジュン・パイクやビル・ヴィオラのビデオアート作品など、2000点近いコレクションを構築している。ただし彼は、「アートの収集は私の趣味であり、ビジネスではない」と、フィナンシャル・タイムズ紙に語っている。

2011年には、ブルックリン美術館で開催された李明維(リー・ミンウェイ)の個展を後援し、同美術館の地面から切り花が伸びているように見える全長14メートルのインスタレーションを貸し出した。また、近年台湾で設立されたアートフェア、台北當代(タイペイダンダイ)のアドバイザーを務め、アートバーゼルのグローバル・パトロン・カウンシルのメンバーにも名を連ねている。

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