海水浴客とライフガードが古代の壺を発見。「完璧な状態」と専門家
8月11日、イタリア中部の西海岸で、2世紀のものと見られる壺が偶然見つかった。この考古学的な発見に一役買ったのが、海岸を歩いていた海水浴客とライフガードだ。イタリアのイル・メッサジェッロ紙が一報を伝えた。
アンフォラと呼ばれる古代の壺が発見されたのは、イタリア・ラツィオ州の都市、ラティナの海岸だ。この日の気温は摂氏27度ほど。海は非常に澄んでおり、ビーチを散策するにはうってつけだった。こうした条件下では、考古学的遺物が見つかりやすいという。
風光明媚なポンティーネの海岸沿いで散歩を楽しんでいた海水浴客は、日よけの傘や貝殻、流木などの中に、見慣れないものがあるのに気づいた。それはアンフォラと呼ばれる背の高い壺で、2つの取手が壺の口や頚から胴体に付けられている。古代には地中海沿岸の海運でワインや油などの運搬に使われた。
発見者の男性に呼ばれたライフガードの青年は、アンフォラの首を持ち、「細心の注意を払って」砂から引き上げた後に沿岸警備隊へ連絡。遺物の回収にやって来たサムエル・サッソ隊長に引き渡された。
専門家によると、このアンフォラはドレッセル2-4と呼ばれる型のもので、「完璧な状態で保存されている」という。おそらく前の晩に、海岸に打ち上げられたものと見られている。
イタリアの通信社ANSAによると、壺はファシスト党のベニート・ムッソリーニが1930年代に設立したラティナ市の博物館に収蔵される見込み。ムッソリーニ政権は、1920年代から30年代にかけて、ラティナ周辺にあったポンティーネ湿原の排水・土地改良事業を行っている。(翻訳:石井佳子)
from ARTnews