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  • 2023.10.06

今週末に見たいアートイベントTOP5: イヴ・クライン、リヒターetc.新進コレクターの67点を紹介、都市の姿を捉えたホンマタカシ約10年ぶりの個展

関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

加藤泉「Untitled」2019 (C)2019 Izumi Kato, Photographer: Ringo Cheung, Courtesy of the Artist and Perrotin

1. GO FOR KOGEI(富山県富山市 富岩運河沿い)

(参考作品) 桑田卓郎《美濃焼》 2023年 Photo: Sudo Kazuya 

富山市を舞台に工芸、現代アート、アール・ブリュットが交差

富山、石川、福井の北陸3県を舞台に、工芸の魅力を今日的視点から発信するプラットホームとして2020年から毎年開催する芸術祭。今年は、富山市の中心部から富山湾に続く富岩運河沿いの3エリアを会場に、工芸、現代アート、アール・ブリュットのアーティスト26人が参加する展覧会や、工芸をキーワードにした北陸の連携プログラムなどを開催する。

陶芸家・現代アーティストとして活動する桑田卓郎は、制作途中で生まれる未完成品を大量に持ち込み、作品を通して美しさとは何かを問う。対してクラシックバレエを学び、演出やパフォーマンス経験を持つオードリー・ガンビエは桑田卓郎の陶器に触発されたテキスタイル作品の中に入り込める「soft vase(柔らかい花瓶)」シリーズから10点を出展する。また、40代だった2000年から油彩で1人の女性を描き続ける板垣豊山が、生涯初となる展覧会を開催する。ほか作家は、岩崎貴宏、上田バロン、O33、川井雄仁、川上建次、河部樹誠、金理有、久保寛子、コムロタカヒロ、近藤高弘、桜井旭、ささきなつみ、定村瑶子、長恵、辻村塊、野村由香、葉山有樹、平子雄一、古川流雄、増田セバスチャン、村山悟郎、横野明日香、渡邊義紘。

GO FOR KOGEI
会期:9月15日(金)~ 10月29日(日)
会場:富山県富山市 富岩運河沿い(環水公園エリア、中島閘門エリア、岩瀬エリア)
時間:10:00 ~ 16:30(入場は30分前まで)


2. TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展(WHAT MUSEUM)

加藤泉「Untitled」2019 (C)2019 Izumi Kato, Photographer: Ringo Cheung, Courtesy of the Artist and Perrotin

イヴ・クライン、リヒターの絵画、ル・コルビュジエデザインの家具など、新進コレクターの66点を紹介

アートコレクター、竹内真のコレクション展。5年前、パブロ・ピカソを購入したのをきっかけに、イヴ・クラインゲルハルト・リヒターら時代を代表する巨匠から、ヴィルヘルム・サスナル、ジャデ・ファドジュティミ、加藤泉大山エンリコイサムなどの気鋭作家、ル・コルビュジエらがデザインした家具まで多彩なコレクションを築き上げた。

本展はコレクションの中から、竹内が近年注目している抽象作品を中心に33点、家具約33点を展示する。本展のタイトルは、竹内自身が抽象的な作品を見た時、作家の「心のレンズが一体どんなものなのかを想像する」ことから付けられた。家具とアートのコラボレーションも大きな特徴だ。シャルロット・ペリアンの椅子に座りながらアート作品をゆっくり鑑賞できる空間を設けるほか、ピエール・ジャンヌレの椅子約21脚を使用したインスタレーションを展示。これらを通して、作品の新たな魅力の発見や、コレクションの楽しみ方を提案する。

TAKEUCHI COLLECTION「心のレンズ」展
会期:9月30日(土)~ 2024年2月25日(日)
会場:WHAT MUSEUM 2F(東京都品川区東品川 2-6-10 寺田倉庫G号)
時間:11:00 ~ 18:00(入場は1時間前まで)


3. 即興 ホンマタカシ(東京都写真美術館)

ホンマタカシ《New York》、〈THE NARCISSISTIC CITY〉より 2013年 ©Takashi Homma Courtesy of TARO NASU

ホンマタカシ10年ぶりの個展。都市を撮影したシリーズを公開

1999 年に写真集『東京郊外』で第 24 回木村伊兵衛写真賞を受賞した、写真家のホンマタカシ(1962 年、東京都生まれ)。彼は東京郊外の風景と人々を独自の視点で捉え、叙情性を排除した作品で高い評価を得ている。ホンマの写真・映像表現は多岐にわたり、キャリア初期にはイギリスのカルチャー誌『i-D』などで活動。変化する東京の風景や成長する少女の姿を捉えた「Tokyo and my Daughter」や、写真家の中平卓馬をモチーフにした映像作品なども制作している。

約10年ぶりの個展となる本展では、建築物の一室をピンホールカメラに仕立て、世界各地の都市を撮影したシリーズ「THE NARCISSISTIC CITY」を中心に展示する。彼はこのシリーズを「都市によって都市を撮影する」と話しており、外に向かって開かれた小さな穴から差し込む光は、真っ暗な部屋の中に倒立した都市の風景を即興的に描き出す。葛飾北斎の《富嶽三十六景》に着想を得て、「THE NARCISSISTIC CITY」と同じ手法で富士山を写したシリーズ「Thirty-Six Views of Mount Fuji」など、約 60 点を展示。作品を通じて、写真・映像表現に対するラディカルな問いかけを行うホンマの現在に迫る。

即興 ホンマタカシ
会期:10月6日(金)~ 2024年1月21日(日)
会場:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00 ~ 18:00(木・金曜は20:00まで)


4. ルーカス・ブレイロック「AI Stole My Lunchbox / AIにお弁当を盗まれた」(nca | nichido contemporary art)

Dad 2022, archival inkjet print, 162.6 x 106.7 cm Courtesy the artist and nca | nichido contemporary art Tokyo | ©Lucas Blalock

デジタル処理で手わざのぬくもりを吹き込むアーティストの日本初個展

アメリカ・ノースカロライナ州出身のアーティスト、ルーカス・ブレイロックの日本初個展。詩人で劇作家のベルトルト・ブレヒトに大きな影響を受けるブレイロックは、ブレヒトの「演劇は、舞台の外で起こった労働を舞台上にもたらすべきである」という言葉を実践。大判カメラでフィルム撮影をした後、画像をスキャンしてデジタル処理をしながら、写真の背後にあるプロセスを表に示していく。

デジタル処理はおもにPhotoshopを使い、デフォルト設定のコピースタンプやエアブラシツールを用いる。その不器用さが、シュールでコミカルなイメージに命を吹き込む。本展では、ブレイロックの代表作と最新作を展示。「絵を描くことで世界を理解しようとする」と語る彼が作品を通して発するメッセージを受け止めたい。

ルーカス・ブレイロック「AI Stole My Lunchbox / AIにお弁当を盗まれた」
会期:10月6日(金)~ 11月11日(土)
会場:nca | nichido contemporary art(東京都港区六本木7-21-24 102)
時間:11:00 ~ 19:00 


5. さいたま国際芸術祭2023(さいたま市内各所)

メイン(旧市民会館おおみや)外観

今年は目[mé]がディレクションを担当。ジャンル横断的に繰り広げられる芸術祭

3年に1度、さいたま市を舞台に開催される芸術祭。今回は「わたしたち / We」をテーマに掲げ、気候変動、社会格差、分断など、様々な問題を抱える世界を新たな目線でもう一度「みる」ことを試みる。メイン会場の旧市民会館おおみやでは、現代アートチーム 目[mé]がディレクションを担当。国内外の様々なジャンルのアーティストが、音楽ライブ、パフォーミング・アーツの公演、映画上映などを行う。参加はアーティストのアーニャ・ガラッチオ、荒川弘憲、今村源、L PACK.、映画監督のグザヴィエ・ドラン、音楽家のテリー・ライリーほか。

メイン会場以外のさいたま市内各所では、アーティストの角文平、市川平が大宮盆栽美術館、漫画会館、岩槻人形博物館、鉄道博物館で新作を発表し、施設間をつなぐ「道」にある自転車や車を作家たちがアート化するプロジェクトなど、さいたま市民とアーティストが作り上げる多彩なプログラムを展開する。また、メイン会場の内外、さいたま市内各所では、いかにもな画家の格好で絵を描く風景画家や、計算されたように並べられる落ち葉など、 目[mé]のみならず演出家や研究者など複数のクリエイターが毎日続々と仕掛けていく「SCAPER(スケーパー)」が繰り広げられる。

さいたま国際芸術祭2023
会期:10月7日(土)~ 12月10日(日)
会場:旧市民会館おおみや(埼玉県さいたま市大宮区下町3丁目47-8)ほかさいたま市内各所
時間:10:00 ~ 18:00(金・土曜は20:00まで)※メイン会場

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