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王薇、劉益謙(ワン・ウェイ、リウ・イーチェン/Wang Wei and Liu Yiqian)

拠点:中国・上海
職業:投資業
収集分野:中国美術(巻物・磁器)、現代アート

タクシー運転手から身を起こした劉益謙は、億万長者ならではの方法でアートを学んできた。「オークションでは活発な入札がある競り合いに参加し、買った後にその作品のどこが良いのかを尋ねるんだ」と、劉は米ブルームバーグに語っている。現在では、ジェフ・クーンズや草間彌生の現代アート作品、古美術の巻物、チベットシルクの刺繍、官窯の磁器など2300点以上の作品を、上海に設立した2つの美術館に収蔵している。2015年11月には1億7040万ドル(約247億円)でモディリアーニの絵画《Nu Couché》(1917-18)を手に入れ、妻の王薇が監修するコレクションに加えた。

王薇と劉益謙が上海に設立した龍美術館では、王が館長を務めている。上海に2カ所、重慶に3カ所の美術館があり、中国の伝統美術から近現代のアジア美術、西洋美術まで、さまざまなスタイルのアート作品が展示されている。

さらに、2015年3月にサザビーズ・ニューヨークで600年前の仏教美術や書を1400万ドル(約20億円)で、同年11月にクリスティーズ香港で15世紀のチベットのタンカ(仏画)を4500万ドル(約65億円)で手に入れるなど、その派手な収集ぶりが耳目を集めている。あるロンドンのアートディーラーは、ブルームバーグにこう語った。「劉は遠慮がなく、せっかちだ。気持ちがいいほどに」

その独特のキャラクターを物語るエピソードがある。劉は2014年に、3630万ドル(約53億円)で500年前の明代の磁器(鶏の絵が描かれた椀)を購入。アメリカン・エキスプレスのカードで24回に分けて代金を支払い、椀と同時に4億2200万分のアメックスポイントを獲得した。その後、彼はその椀で何かを飲む自撮り写真をSNSに投稿し、物議を醸している。


注:記事中の円換算額は、US版ARTnewsで2022年版トップ200コレクターズが発表された2022年10月時点の為替レートによる。

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