ヤン・ビン(Yang Bin)

拠点:中国・北京
職業:自動車ディーラー
収集分野:近現代アート

中国の大物自動車ディーラー、ヤン・ビン。北京の富裕層が夜な夜な開くパーティーでアートの話を聞いて興味を持ち、コレクションを始めた彼は、急速に収集作品を増やしてアート界で頭角を現した新しい世代の中国人コレクターの1人だ。1000点にも及ぶそのコレクションは、明代の壺から現代アートまでを網羅。US版ARTnewsの取材に、「オークションの記録によると、私のコレクションで最も価値のある作品はリウ・ウェイの《Bathing Beauty III》です」と答えている。彼はウェイの作品を複数所有しているが、その中には300万ドル(約4億3500万円)近いと推定されているものもある。

ヤンには、個人的に付き合いのあるアーティストの作品は必ず手に入れようとする傾向があるという。2005年、彼はあるオークションでチェン・ウェンジーの油絵《A Red Rope》に目を留めた。チェンの作品はすでに複数所有していたヤンだが、この絵のスタイルにいたく惹きつけられたのだ。ところが、別のコレクターが入札合戦に加わってきた。「どうしても欲しくて、『すみません、この絵がどうしても欲しいんです、譲っていただけませんか』と話しかけたんです」。突拍子もない言い分だが、なんと相手はそれを承諾し、その後2人は今日まで続く友情を育んでいる。

ヤンはまた、アニッシュ・カプーアの凸面鏡の作品を購入したとき、US版ARTnewsにこう語った。「カプーアを購入したのは、自分の限度がどこにあるかを考えさせてくれるからです。現代アートは、現代の生活と密接に結びついています」