第2回フリーズ・ソウルがいよいよスタート! 初日は低価格帯の作品が売上を牽引
第2回フリーズ・ソウルが、韓国の首都ソウルの江南地区にあるCOEXコンベンションセンターで、9月6日のVIPデーを皮切りに幕を開けた。今回は、世界有数のギャラリーを含め、120以上が出展。初日の売上を主要ギャラリーに取材した。
少なくとも初日のVIPプレビューにおいては、取材に応じたギャラリーの多くが昨年の第1回のような数億円の売上には至らなかったようだが、比較的低価格帯の作品が順調に売れたことで、多くのアーティストと出展者にとってはよい結果となったようだ。
もちろん、初日の売上だけでアートフェアの成否を判断することはできないし、ギャラリーが報告した売上を独自に検証することも難しい。というのも、事前に購入された作品についてフェアの後半で発表されるケースもあり、また、最終日の9月9日(土)までの間に大きな取引が発生する可能性もある。
というわけで、ここからは、メガギャラリーを含む10の出展者のVIPプレビュー(9月6日)での売上と作品を紹介する。(作家名/ギャラリー名、または、ギャラリー名)
ウッディ・デ・オセロ/ジェシカ・シルバーマン
アメリカ・サンフランシスコを拠点とするギャラリー、ジェシカ・シルバーマンが今回のフリーズ・ソウルで紹介したのは、自然界と時の流れをモニュメンタルに表現するアメリカ人アーティスト、ウッディ・デ・オセロ。初日には、《Green Lady》(2023年)と《mineral wisdom》(2023年)と題された2つの大きな陶器の作品をそれぞれ9万2000ドル(約1350万円)で、また、《reminded of their power》(2023年)を7万5000ドル(約1100万円)、自立型の彫刻《it is in our bones not the brain》(2023年)を8万5000ドル(約1250万円)、そして大型の油絵《trees protect and shield》(2023年)を6万5000ドル(約960万円)で販売した。
さらに2日目には、油絵の《Sun Showered》(2023年)と《nourishing home》(2023年)がそれぞれ3万ドル(約440万円)、釉薬をかけた陶器の壁面彫刻《Ever So Present》(2023年)が2万5000ドル(約370万円)で売れた。ここ数年、オセロ作品の価格は他の同世代の作家と比較しても上昇を続けている。
リーマン・モーピン
リーマン・モーピンはVIPプレビューで、2万ドル(約300万円)~19万ドル(約2800万円)の作品を15点以上販売した。そこには、イ・ブルの作品(19万ドル=約2800万円)、タミー・グエンの新作2点(合計15万ドル=約2200万円)、ス・ドホの作品3点、ソン・ヌンギョンの作品2点など、多くの韓国人アーティストの作品が含まれている。その他、ビリー・チルディッシュの絵画4点、ロリエル・ベルトランの新作1点(4万5000ドル=約660万円)、シャンタル・ヨッフェの絵画3点(合計10万ドル=約1500万円)も売れた。
ハウザー&ワース
メガギャラリーのハウザー&ワースは、13点以上の作品を東アジア全域の美術館やコレクターに販売した。それらの中には、ラシッド・ジョンソンの作品(97万5000ドル=約1億4000万円)やジョージ・コンドの作品(80万ドル=約1億1800万円)、ポール・マッカーシーの作品(57万5000ドル=約8500万円)もあった。
キャサリン・バーンハート/デヴィッド・ツヴィルナー
メガギャラリーのデイヴィッド・ツヴィルナーは、キャサリン・バーンハートとローズ・ワイリーの絵画をそれぞれ25万ドル(約3700万円)で、マンマ・アンダーソンの作品を55万ドル(約8100万円)で販売するなど、著名な女性アーティストの作品が売上を牽引した。他にも、草間彌生やヨゼフ・アルバース、ジョアン・ミッチェルの絵画も複数売れた。
タデウス・ロパック
タデウス・ロパックは、ダニエル・リヒターの複数の作品を40万2290ドル(約6000万円)、トニー・クラッグの作品を32万1830ドル(約4750万円)、トム・サックスの作品を17万5000ドル(約2600万円)、イ・ブルの作品を19万ドル(約2800万円)で販売。韓国の機関投資家や国際的なコレクターへの売行きが好調だった。
メアリー・ウェザーフォード/デヴィッド・コルダンスキー
デヴィッド・コルダンスキーは、ネオンを組み合わせた抽象絵画で知られるメアリー・ウェザーフォードの作品を発表。初日でほぼ完売となった彼女の作品は、韓国とアジアの著名な機関やコレクターが購入した。
ホワイトキューブ
ホワイトキューブでは、トレイシー・エミンのネオン作品2点が合計8万1300ドル(約1200万円)、アントニー・ゴームリーの作品が46万9040ドル(約6900万円)、そしてパク・ソボの作品が49万ドル(約7200万円)で売れた。
ペース・ギャラリー
メガギャラリーのペースでは、アレクサンダー・カルダーの希少な彫刻1点と紙の作品1点、そして奈良美智と岡崎乾二郎の近作がそれぞれ2点ずつ売れた。リー・クンヨンの絵画《Bodyscape 76-1-2023》(2023年)は25万ドル、チウ・シャオフェイの2014年の絵画は16万ドルを売り上げた。ジョエル・シャピロの新作彫刻は17万5000ドル、ロバート・ナヴァの近作は15万ドルの値がついた。さらに、カイリー・マニングの大型絵画が8万ドル、キキ・スミスによるシアノタイプの版画が2万ドルで売れた。同ギャラリーは来春、東京に新拠点をオープンすることを発表したばかり。
リッソンギャラリー
リッソンギャラリーの初日売上は、スタンレイ・ホイットニーの絵画が55万ドル(約8100万円)、クリストファー・ル・ブランの絵画が11万2570ドル(1660万円)、ジュリアン・オピーとライアン・ガンダーの作品がそれぞれ9万3810ドル(約1400万円)という内訳となった。
サハラ・ロンジ/ティモシー・テイラー
ロンドンのギャラリー、ティモシー・テイラーは、被写体の心理を巧みに描写した大型肖像画を制作する気鋭のイギリス人アーティスト、サハラ・ロンジの作品を出品。アジア、アメリカ、ヨーロッパの個人および公的機関が合計13点、それぞれ2万ドル(約300万円)から3万ドル(約440万円)の間で購入した。
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