アメリカが約1300点の先コロンブス期の文化遺産をメキシコに返還
メキシコ大統領が推進する文化遺産の返還プロジェクト「My Heritage is not for Sale(私の遺産は売り物ではない)」に関連して、先日、1294点もの先コロンブス期の遺物がアメリカ当局からメキシコに返還された。
カリフォルニア州のサン・バーナディーノ郡博物館(San Bernadino County Museum=以下、SBCM)で行われた式典で、1294点もの先コロンブス期の文化遺産がアメリカ当局からメキシコに返還された。
今回の返還は、国立人類学歴史学研究所(INAH)傘下のメキシコ外務・文化省、サンバーナーディーノ郡監督委員会、SBCMのデビッド・マイヤーズ所長とタマラ・セラオ=レイバ副所長の協力によって実現した。式典では、メキシコを代表して、サン・バーナディーノ郡メキシコ領事のイツェル・デ・レオン・ビラードがこれらの遺物を受け取った。返還されたものの中に、彫像、管楽器、ネックレス、陶器や銅製の鈴、矢じり、埋葬遺物など、儀式用や日常用のものが含まれている。
SBCMでは現在、9月16日のメキシコ独立記念日と、9月15日から10月15日までのアメリカにおけるヒスパニック文化遺産月間に合わせて、展覧会「Latinos: Driving Prosperity, Power, and Progress in America(ラティーノ:アメリカの繁栄、権力、進歩の原動力)」が開催中。式典も、これに合わせて行われた。
同館が文化的に重要な品々を本国へ返還するのは今回が初めてではない。SBCMは2021年に、80年代に適切な出所記録がないまま取得された数十点の文化遺産をミッションインディアンのサン・マヌエル族に返還している。
メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が推進している国の文化財を回収するプロジェクト「My Heritage is not for Sale(私の遺産は売り物ではない)」では、2018年以降、11,500点以上がメキシコに返還されている。これに関連して、先日もフランスのオークションハウスで、先コロンビア時代の遺物の出品が中止された。
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