アンディ・ウォーホルの“大学時代の絵画”を遺族がオークション出品へ
今秋、アンディ・ウォーホルの遺族が、ウォーホルが学生時代に制作した初期の絵画をオークションに出品する予定であることがわかった。評価額は明らかにされていない。
ウォーホルは、1987年に外科手術の合併症のため58歳で亡くなった。その甥、ジェームズ・ウォーホラ(*1)は、6人のきょうだいとともに、父ポールと母アン(それぞれ2014年没、16年没)からウォーホルの作品を受け継ぎ、その販売を管理している。
*1 アンディ・ウォーホルの本名はウォーホラ。名字の最後の「a」を除いてウォーホルとしていた。
ポール・ウォーホラは、アンディ・ウォーホルの2人の兄の1人。ジェームズ・ウォーホラは、ニューヨーク州クリントン・コーナーズとピッツバーグ市オークランド地区を拠点に活動するイラストレーターで、数多くの絵本を世に出している。
《Living Room(リビングルーム)》(制作年不詳) Courtesy Paul Warhola Family Collection
オークションに出品が予定されているのは絵画10点。その中には、ウォーホルを代表する鮮やかなシルクスクリーンとは似ても似つかぬ濁った暗い色合いの静物画《Living Room(リビングルーム)》(1947)や、人物画《Nosepicker 1(鼻をほじる人1)》(1948)がある。いずれも、カーネギー工科大学(現在のカーネギーメロン大学)在学中の1945年〜49年に制作された作品だ。
《Nosepicker 1(鼻をほじる人1)》(1948) Courtesy Paul Warhola Family Collection
遺族が運営し、作品目録を掲載している公式ウェブサイトによると、ウォーホルが大学を卒業してニューヨークに移った時、在学中に制作した作品が廃棄されそうになったのを救ったのは兄のポールだったという。当時の作品は、全部で14点現存しているとされる。
また、オークション出品のニュースを最初に報じたペンシルベニア州のトリビューン・レビュー紙は、学生時代の作品の一部が、アンディ・ウォーホル美術館(ピッツバーグ)や最近の巡回展「Andy Warhol: Lifetimes(アンディ・ウォーホルの生涯)」で展示されていたことを伝えている。
あるインタビューでジェームズ・ウォーホラは、絵画の売却益はきょうだいの間で分配されると述べた。遺族は現在、どのオークションハウスで販売を行うかを検討している。(翻訳:清水玲奈)
※本記事は、米国版ARTnewsに2022年8月10日に掲載されました。元記事はこちら。