パレスチナ・ガザ地区で古代ローマの棺を発掘。非常に珍しい「ブドウとイルカ」の絵
パレスチナ自治区のガザで、新たに古代ローマ時代の墓が4基発掘された。そのうち2基には鉛の棺が埋葬されており、片方にはブドウの収穫、もう片方にはイルカが泳いでいる様子が描かれていた。
ブドウやイルカが描かれた2つの棺の発見は、古代のパレスチナで行われていた農業や交易を考察するうえで貴重な資料になると、考古学研究者らは評価している。また、多くの墓がピラミッド様のデザインで装飾されている中、これらの棺の絵柄は注目すべき発見だとしている。墓からはさらに、宝飾品や陶器の破片も見つかった。
ガザ地区では、パレスチナ人とフランス人の研究者チームが遺跡発掘に従事しており、観光考古省が9月下旬に発表したところによると、約4000平方メートルにおよぶ地域から、これまでに134の墓が発見されている。
同省のジャマル・アブ・リダ局長はアルジャジーラの取材に、「現在進んでいる作業は、近年ガザ地区で続いている歴史的・考古学的発見の一端にすぎません」と回答。また、考古学者のファデル・アル・アウトゥルによると、これらの墓所は観光客や海外の研究者を迎えることを最終的な目標として、調査と修復が進められている。
アジアやアフリカとつながる文明の十字路という地理的重要性から、ガザにはこの地域で最も豊富な考古学的文化財が眠っていると見られる。しかし、慢性的な資金不足やイスラエルとの緊張関係のため、発掘や維持管理作業が滞ることも多い。現在行われている2000年前の墓所の修復は、ブリティッシュ・カウンシルの文化保護基金の支援を受けている。
アルジャジーラが報じるところによると、何世紀にもわたってガザの土の下に埋もれていた古代ローマの墓地を見つけたのは建設作業員だった。同作業員は昨年12月、ガザ地区北西部の復興プロジェクトのため、ブルドーザーで土を掘り起こしていたという。(翻訳:石井佳子)
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