スペインの一家に伝わる絵画がヴァン・ダイク作と判明!地元美術館に十億円単位で売却か
スペイン・アンダルシア州の一家に受け継がれている絵画が、フランドルの巨匠アンソニー・ヴァン・ダイク(1599‐1641)作と判明。同州のセビリア美術館に収蔵される可能性が出てきた。
スペインのエル・パイス紙によると、絵画《聖バルバラへの幼子イエスの贈呈》は、アンダルシア州のハエンにある民家で数世代にわたって飾られていたが、誰の作品かは分からないままだった。 そこでマドリードの美術会社がこの絵画を調査した結果、ヴァン・ダイク作と判明したため、世界中の買い手から関心が集まった。しかし、アンダルシア文化省はエル・パイス紙に、一家がセビリアの美術館と交渉を行っていることを認めている。
絵画の持ち主の代理人ルイス・バエナ弁護士によると、「持ち主は投機には興味がなく、一家が現在住み、特別なつながりのある街であるセビリアにこの絵が残ることに特別な関心を持っている」という。絵画は現在金庫に保管されており、所有者は写真撮影を許可していない。
この作品はまだ正式な鑑定を受けていないが、持ち主はエル・パイス紙に「公正で妥当な価格」を求めると語っている。ヴァン・ダイクの同様の作品はオークションで十億円単位の値がついているのだ。
ヴァン・ダイクは、フランドルの同時代に活躍したピーター・ポール・ルーベンスと同じく多作な宮廷画家だった。彼の作品の中で最も高価なものの中には、近年になって価値を大幅に高めたものもある。
2014年、ロンドンのナショナル・ポートレート・ギャラリーは、1641年に画家が亡くなる直前に制作された自画像を1000万ポンド(現在の為替で約18億円)で購入し、ヴァン・ダイクの最高額を記録した。この自画像は、2009年に830万ポンド(同約15億円)で落札されている。
美術館は一般的に個人コレクターより予算を割けない傾向にあるが、それでも、セビリア美術館への売却が決まれば、《聖バルバラへの幼子イエスの贈呈》の所有者は、相応の支払いを期待できるだろう。
最近の例では、2018年、ブダペスト美術館がクリスティーズからヴァン・ダイクのシャルル1世の娘の結婚式の肖像画を750万ドル(現在の為替で約11億円)で購入している。(翻訳:編集部)
from ARTnews