• ECONOMY
  • NEWS
  • 2023.10.24

好調だったアート・バーゼルParis+ どの作品がいくらで売れた? ケリー・ジェームズ・マーシャルが最高額の約9億円

今年2回目を迎えたアートフェア、「アート・バーゼルParis+(以下、Paris+)」は、プレビュー初日から多くのギャラリーで高額作品の売り上げが相次ぎ、盛会のうちに閉幕した。その中で特に目立った販売作品をまとめた。

アート・バーゼルParis+(2023年)の会場風景。Photo: Courtesy Paris+, par Art Basel

2023年のParis+で特に売れ行き好調だったのは、アメリカやヨーロッパのメガギャラリーや中堅ギャラリーだ(地元フランスのギャラリーは全体の3分の1)。デイヴィッド・ツヴィルナーは、マルレーネ・デュマス、アリス・ニール、ミヒャエル・ボレマンスの作品に加え、ケリー・ジェームズ・マーシャルの絵画を600万ドル(約9億円)という驚異的な価格で販売したという。マーク・ブラッドフォードジョージ・コンドロニ・ホーンなどの作品を揃えたハウザー&ワースでは、出展作品が初日に完売。同ギャラリーのマーク・パイヨ共同代表の話では、買い手の多くはフランス国内の個人コレクターや美術館だった。

パリを拠点とするギャラリーからの報告によると、ギャルリー・アレンではジャクリーン・デ・ヨング、アプリカ・プラザンはジャン・エリオン、クリスチャン・ベルストはアンナ・ゼマンコヴァー、メヌールでは李禹煥の作品が売れた。その他、パリおよび西アフリカのアビジャンとダカールにギャラリーを展開するギャルリー・セシル・ファクリーが、エラジ・ランシー・ドゥルーモーの作品だけを扱ったソロブースを出展し、絵画3点をそれぞれ3万~4万ユーロ(約470万〜630万円)で販売。さらに、ウィーンのフェリックス・ガウドリッツやトビリシのLC クイサーといった新興ギャラリーでも、3000〜1万5000ドル(約45万〜220万円)の価格帯で新進アーティストの作品が幅広く売れ、今後への期待がふくらんだ。

以下、注目を集めたギャラリーと販売作品を紹介しよう(各見出しは、アーティスト名/ギャラリー名の順に表記)。

1. Kerry James Marshall, Marlene Dumas/David Zwirner(ケリー・ジェームズ・マーシャル、マルレーネ・デュマス/デイヴィッド・ツヴィルナー)

デイヴィッド・ツヴィルナーのブースでは、評論家によるお墨付きの作品、中でもアメリカ人画家の作品に人気が集った。特に目を引いたのは、ケリー・ジェームズ・マーシャルが2020年に制作を始めたシリーズ、「Black and part Black Birds in America: (Crow, Goldfinch)」の1点に、600万ドル(約9億円)という高値で買い手がついたことだ。同ギャラリーではほかにも、個人コレクターがマルレーネ・デュマスの作品を300万ドル(約4億5000万円)で購入し、アリス・ニールの絵画も同等の価格で売れたという。さらに、ノア・デイヴィス、ミヒャエル・ボレマンスダナ・シュッツエリザベス・ペイトンオスカー・ムリーリョジョセフ・アルバース、ネオ・ラオホ、リサ・ユスカベージ、フェリックス・ゴンザレス=トレス、ルーカス・アルーダ、ジョーダン・ウルフソンといった著名作家の作品も販売が報告されている。

2. George Condo, Mark Bradford/Hauser & Wirth(ジョージ・コンド、マーク・ブラッドフォード/ハウザー&ワース)

チューリッヒ、グシュタード、サンモリッツ、ロンドン、サマセット、ロサンゼルスニューヨーク香港、モナコ、そしてメノルカ島に拠点を構えるハウザー&ワースは、Paris+初日に数百万ドル規模の売り上げを記録。ジョージ・コンドの絵画《Female Portrait Composition》(2023、油彩・リネンキャンバス)が240万ドル(約3600万円)、マーク・ブラッドフォードの《The Nature of Space》(2023、ミクストメディア)が180万ドル(約2700万円)で売れ、ロニ・ホーンの鋳造ガラス作品(2021〜2022)は150万ドル(約2200万円)で中国の美術館が購入した。このほか販売が報告されたアーティストは、エド・クラーク、ニコラ・パーティー、ラシッド・ジョンソンエレン・ギャラガー、フランク・ボウリング、チャールズ・ゲインズ、リー・ロザーノ、ローナ・シンプソン、アンヘル・オテロ、松谷武判、張恩利、ルチタ・ウルタド、エレーヌ・デルプラ、フィリップ・ガストンなど。

3. Loie Hollowell, Adam Pendleton/Pace(ロイ・ホロウェル、アダム・ペンドルトン/ペース・ギャラリー)

Photo: ©Loie Hollowell, courtesy Pace

香港、ソウル、ジュネーブ、ロンドン、イーストハンプトン、ニューヨーク、パームビーチ、パロアルトに拠点を持つメガギャラリーのペースも、Paris+での好調な売れ行きを報告している。目立ったところでは、ロイ・ホロウェルがリネンカンバス、油絵の具、アクリルメディウム、高密度発泡スチロールを素材に制作した魅惑的な作品《Red-Orange Brain》(2023)が45万ドル(約6700万円)で売れている。同じく2023年の作品で、カンバスにシルクスクリーンインクを用いた2枚のパネルによるアダム・ペンドルトンの絵画《Black Dada(A)》は27万5000ドル(約4100万円)で販売された。さらに、リー・ソンソン、トルクワセ・ダイソン、ミハル・ロヴナー、メイシャ・モハメディ、アリシア・クワデの作品も売れたと報告されている。同ギャラリーによると、クワデの彫刻作品《Trait Transference》(2015)は、フェア開幕から1時間も経たないうちに、パリとテキサスを拠点とする個人コレクターが6万5000ドル(約970万円)で購入したという。

4. Robert Rauschenberg, Simon Hantai/Thaddaeus Ropac(ロバート・ラウシェンバーグ、シモン・アンタイ/タデウス・ロパック)

ロバート・ラウシェンバーグ《無題》(1962)。Photo: Courtesy of Thaddeus Ropac

ザルツブルグを拠点とするギャラリー、タデウス・ロパックのブースでは、ロバート・ラウシェンバーグが1962年に油彩とシルクスクリーンインクで制作した二連画が注目を集め、200万ドル(約3億円)で販売された。このほか高価格帯で売れた作品には、120万ユーロ(約1億8000万円)でフランス国内のコレクターに買われたゲオルク・バゼリッツの鮮やかな油彩画《Sommer in Dinard》(2023)や、やはりフランス国内の買い手に100万ユーロ強(約1億5000万円)で販売されたシモン・アンタイの表現力豊かな油彩画《Les larmes de Saint Ignace》(1958)がある。また、エイドリアン・ゲニー、マーサ・ユングヴィルト、レイチェル・ジョーンズといった存命アーティストの作品の販売も報告されている。

5. Tracey Emin, Cecilia Vicuna/Xavier Hufkens(トレイシー・エミン、セシリア・ビクーニャ/グザヴィエ・ハフケンス)

Photo: Courtesy of Xaviar Hufkins

ブリュッセルを拠点とするギャラリー、グザヴィエ・ハフケンスは、高額作品数点を売り上げたと報告している。特筆すべきはカンバスにアクリルで描かれたトレイシー・エミンの作品《All the time I could Feel you》(2023)で、プライベートコレクションに75万ポンド(約1億3700万円)で売却された。また、セシリア・ビクーニャのカンバスに油彩の新作《Obstructing the Doors is Dangerous》(2023)を30万ドル(約4500万円)で販売。この作品は中央に裸の人物が描かれていて、その口からは作品のタイトルなどの文字が流れ出ている。このほか、レオン・コゾフ、トマス・ハウセゴ、ティエリー・ド・コルディエ、仇暁飛(チュウ・シャオフェイ)、ルイーズ・ブルジョワ、セイヤー・ゴメスらの作品も3万5000〜20万ドル(約520万〜3000万円)で売れたと報告されている。(翻訳:清水玲奈)

from ARTnews

あわせて読みたい

  • ARTnews
  • ECONOMY
  • 好調だったアート・バーゼルParis+ どの作品がいくらで売れた? ケリー・ジェームズ・マーシャルが最高額の約9億円