ピカソ作品、今年最高額となる約210億円で落札。サザビーズの秋のオークション速報
11月8日に行われたサザビーズ・ニューヨークのイブニング・セールで、ニューヨークの慈善家、故エミリー・フィッシャー・ランドーが所蔵していたパブロ・ピカソの絵画《Femme à la montre(時計を持つ女)》(1932)が手数料込みで1億3900万ドル(約210億円)で落札された。これは、今年落札された美術品の中で最高額、ピカソ作品としては史上2番目の高値だ。
今年初めに102歳で亡くなったエミリー・フィッシャー・ランドーはアートコレクターとしても知られており、「アメリカン・アートの軌跡を語る上で、最も包括的で時代を定義するコレクション」と称される貴重なコレクションを遺した。今回のオークションではそのうちの120点が出品された。
10ロット目に登場したピカソの1932年の作品《時計を持つ女》は、サザビーズのオークショニア、オリヴィエ・バーカーの進行により1億ドル(約151億円)から入札を開始。最終的にはサザビーズ・グローバル・ファインアート部門の責任者ブルック・ランプリーが担当した電話入札による参加者が1億2100万ドル(約183億円)で落札した。この絵画の見積額(非公表)である1億2000万ドル(約182億円)をわずかに上回る結果となった。手数料を入れると1億3900万ドル(約210億円)になる。
ピカソ作品のオークション最高額は、2015年5月にクリスティーズに出品された《アルジェの女たち(バージョンO)》(1955)の1億7940万ドル(現在の為替で約271億円)で、カタールの王族アル・タニ家が競り落としたと伝えられる。
ピカソが1930年代の大半を共に過ごした若き愛人、マリー=テレーズ・ワルターを描いた作品は、しばしばオークションで高値がつく。《時計を持つ女》もそうした作品の一つだが、同じ1932年に描かれた《裸婦、緑の葉と胸像》は、2010年5月にクリスティーズで行われたオークションで、予想落札額7000万ドル(同・約106億円)を大きく上回る1億650万ドル(同約161億円)で落札されている。
《時計を持つ女》は、所有者が少ないことも特徴だ。サザビーズが公表した出自によれば、この作品は、ピカソ本人が長らく手元に置いており、1966年にスイス・バーゼルのバイエラー画廊が購入した後、ペース・ギャラリーを経て1968年にエミリー・フィッシャー・ランドーの手に渡っている。(翻訳:編集部)
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