バンクシーのあの有名壁画が取り壊しに。解体業者は絵の一部を取り除くことに成功
バンクシーがBrixit(イギリスのEU離脱)を風刺して描いた壁画がある建物の取り壊しが進んでいる。11月29日、CNNが報じた。
バンクシーによるこの壁画は、イギリスがEU離脱を決めた直後の2017年5月、EUの玄関口である英仏フェリーの出航地ドーバーの建物(キャッスル・アミューズメンツ・ビル)に現れた。ヘルメットをかぶった男がはしごに登り、EUの旗に描かれた12個の星の1つをのみと木づちで削り取る様子を描いたもので、もともと壁に走っていた亀裂をEUに生じたそれと重ねている。
壁画は瞬く間に有名になり多くの観光客が訪れたが、2019年に白ペンキで塗りつぶされてしまった。ドーバー市議会(DDC)が発表した声明では、誰が塗りつぶしたかは不明であり、市議会も関与していないという。壁画の価値は100万ドル(約1億5000万円)以上とされる。
ドーバー市議会は壁画修復の可能性について話し合っていたが、「文化施設とコミュニティ参加施設、および住居」からなるこの地域の大規模な開発プロジェクトの一環として建物の取り壊しを決めた。
市議会の広報担当者はCNNの取材に対し、「議論の過程で、保存に関する専門家に助言を求めました。技術的には可能であることが分かりましたが、これを保存するには納税者に多大な費用を負担させることになり、諦めざるを得ませんでした」と述べている。
市議会の声明によると、建物の解体はDDS Demolition社が担当し、解体した際に生じる資材の所有権を同社に与える契約をしている。同社は壁画を可能な限り保存する計画で、すでに星と男と梯子の一部を取り除くことに成功しているという。解体工事はクリスマス前の完了を目指している。(翻訳:編集部)
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