大英博物館のSNS投稿が「女性蔑視」と大炎上。同館は「マンスプレイニングを揶揄したつもり」と弁明
大英博物館が3月3日にXへ投稿した企画展の告知が大炎上している。古代ローマの軍史に関する展覧会が、「独身女性が男性にアピールする格好の場」であるかのような内容だったのだから当然だ。
大英博物館がX(旧Twitter)に投稿したのは、「Legion: life in the Roman Army(レギオン:ローマ軍の日常)」展をプロモートするためのものだった。そこには、女性が「よく分からない」という表情を浮かべて展示を見ていると、男性が近づいてきてそれが何であるかを説明をしてくれることを示唆する記述があった。今は削除されているが、こんな具合だ。
「独身で彼氏を探しているお嬢さん、これは大英博物館の新しい展覧会『ローマ軍の日常』に行って、困った顔をして歩き回れというお告げです」
そして下部には、こんなキャッチコピーが付けられていた。
「ローマ人を見に来て、ロマンスを見つける」
これにXユーザーは一斉に反発。中でも、ロンドンやオックスフォードを拠点とする学術界のユーザーたちは強い不快感を示した。たとえば、オックスフォード・ブルックス大学で音楽・文化史の教授を務めるアレクサンドラ・ウィルソンは、大英博物館のやり方は「的外れ」だとしてこう投稿している。
「@britishmuseum このマーケティング手法は実に不適切。TikTokで流行っているからといって、それを『理解』してもらえるという前提での表現は、かえってあなたたちの(幅広い)来館者を遠ざけてしまいます。皮肉を込めたつもりかもしれませんが、まったく効果はありません。公式アカウントが『若者のことをよく知っている』ように振る舞っても退屈なだけです」
ウィルソンがTikTokに触れたのは、批判に対する大博物館の弁明に、これがTikTokで人気のあるコンテンツをもじった投稿だという説明があったからだ。その内容は、女性が夫やボーイフレンド、父親に、ローマ帝国のことをどれくらいの頻度で考えているかを尋ねると、意外な答え(かなり頻繁)が返ってくるというもの。残念ながら、その意図が通じたとは言えない。
一方の大英博物館は、また別の投稿にリプライするかたちでこう謝罪の弁を述べた。
「あのポストは、男性が女性に対して上から目線で説明をするのは物笑いの種になると、そうした態度を揶揄したものです。私たちは決して、女性がデート相手を探したり、バカなふりをしたりする必要があると言っているわけではありません。この投稿の背景にある文脈を知らずに不快感を覚えた方々に謝罪いたします」(翻訳:石井佳子)
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