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モロッコ、ヴェネチア・ビエンナーレのパビリオン出展を突如キャンセル。理由も公表せず

第60回ヴェネチア・ビエンナーレ(4月20日~11月24日)に国別パビリオンとして初参加する予定だったモロッコ館だが、2024年1月に突如、参加キュレーターとアーティストが降板させられた。そしてこのほど、パビリオンの参加自体がキャンセルされたことが明らかになった。

第59回ヴェネチア・ビエンナーレの中央パビリオン。2022年4月20日撮影。Photo: Getty Images

モロッコは、第60回ヴェネチア・ビエンナーレの国別パビリオンへの初参加が決まり、2023年7月から準備を進めてきた。しかし11月になって、モロッコ館のキュレーターを務めるマヒ・ビネビネやアーティストたちは、文化省のモハメド・ベン・ヤコブ芸術局長からパビリオンを監督するために設立される独立財団の認可手続きが難航していることを知る。そして2024年1月15日、ビネビネのもとに文化省から電話があり、キュレーターを美術史家で独立キュレーターのムーナ・メクアールに変更すると突如聞かされた。これにともない、ビネビネが選んだ3人のアーティスト、サファア・エルルアス、マジダ・カタリ、ファティハ・ゼンムーリのビエンナーレ参加もキャンセルされた

アーティストたちは何カ月もかけて制作した作品が突然展示されなくなることに対してショックを受け、ビネビネはこの状況を「悪夢」と呼んだ。

それから2カ月以上が経過した3月28日、モロッコがパビリオン出展を正式にキャンセルしたことが判明。この件を報じたアート・ニュースペーパーによると、ムーナ・メクアールと同省にコメントを求めたが返答は来ておらず、展覧会を中止にした理由も分からないままだ。

出品作家の1人だったサファア・エルルアスによると、モロッコ文化省は今回発生した作品制作費をアーティストに支払った上で、今後、作品発表の機会を設けることを約束したという。

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