マン・レイの側近による希少品ぞろいのオークションは高額落札が続出!チェスセットが約3000万円
マン・レイの側近がコレクションした、彼の写真や平面、立体作品など200点が4月11日、クリスティーズ・パリのオークションに出品され、予想落札額を大きく上回るロットが続出した。
ガーディアン紙によると、今回クリスティーズ・パリに出品されたマン・レイの作品約200点は、マン・レイの元側近であり、国際マン・レイ協会会長のマリオン・マイヤーによるコレクションだ。ドイツのギャラリストで美術史家でもあったマイヤーは1960年代後半、マン・レイの編集者で親友でもあった夫のマルセル・ゼルビブを通じてマン・レイと知り合った。マイヤーはその後マン・レイの傍らで働くようになり、特に彼の絵画、ドローイング、オブジェを好んで収集した。
マイヤーが手放したマン・レイの作品約200点について、クリスティーズは、「彼の作品の中でも最も包括的なもののひとつであり、1910年代にダダイストとしてニューヨークで制作したオブジェやドローイングから始まり、晩年のアッサンブラージュに至るまで、彼の全キャリアにわたっている」と評した。
クリスティーズが評する通り、出品作品には、写真はもちろん、彫刻や鉄のアイロンに釘がついた有名な彫刻《Cadeau》(1921)や、シェイクスピアの喜劇にちなんだ《All’s Well That Ends Well》(1948)などの絵画が含まれており、その一覧を見ただけで彼の創作が多彩であったことが伺える。
出品作品の中で最も注目されたのは、裸のキキ・ド・モンパルナスの背中にバイオリンのf字孔をあしらったマン・レイの代表作《Le Violon d'Ingres》(1924)のオリジナルプリントだ。同作品は、2022年にクリスティーズでサイン入りのオリジナルプリントが1240万ドル(当時の為替で約16億円)で落札され、オークションにおける写真の史上最高落札価格を記録した。今回3点出品され、そのうちの1点が、予想落札額4万ユーロから60万ユーロ(約657万円~約985万円)を大きく上回る12万ユーロ(約1970万円)、手数料込みで15万1200ユーロ(約2483万円)で落札された。
そのほか、チェスセットは予想落札額の高値3万ユーロ(約493万円)のところ20万1600ユーロ(約3311万円)、振り子に目が付けられているアイコニックなメトロノーム《Objet indestructible》(1965)は予想落札額の高値2万ユーロの(約328万円)ところ9万720ユーロ(約1490万円)、はかりに鮮やかなブルーの樹脂製バゲット2本を載せた《Pain Peint》(1969)は予想落札額の高値3万ユーロのところ17万6400ユーロ(約2898万円)で落札されるなど、予想を大きく上回る結果が続出した。
今回200点ものマン・レイ作品を手放した理由について、マリオン・マイヤーは、「私は60年近くマン・レイに人生を捧げてきましたが、彼はもう私を必要としていないと感じています。(マン・レイ国際協会の設立という)私の目的は達成されたのです」と語った。(翻訳:編集部)
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