ペース・ギャラリーが高松次郎作品の取り扱いを発表。アート・バーゼルで個展も
ペース・ギャラリーは、戦後日本美術史の重要人物である高松次郎(1936-1998)の作品を取り扱うことを発表。6月13日からアート・バーゼルで個展を開催する(16日まで)。
ペース・ギャラリーは、戦後日本美術を代表する高松次郎の作品を取り扱うと発表した。高松作品を現在扱っている東京のユミコチバアソシエイツ、ロンドンとニューヨークのスティーブン・フリードマン・ギャラリーとは協力関係を結ぶ。
高松次郎は1950年代後半から活動を開始し、絵画、彫刻、写真、パフォーマンスなど幅広いジャンルの作品を残した。彼の名前が知られるようになったきっかけは、1963年に赤瀬川原平、中西夏之と結成した「ハイレッド・センター」だ。彼らは集団で白衣を着用し、銀座の路上を丁寧に清掃する「首都圏清掃整理促進運動」(1964) などのパフォーマンスを通じて日常に芸術を持ち込み、退屈な日常を撹拌することを試みた。赤瀬川が紙幣を自作し裁判にまで発展した「模造千円札」(1963)は同団体の活動の一環とも言える。
その後高松は1968年のヴェネチア・ビエンナーレに日本代表として参加。同年から74年にかけて多摩美術大学と東京藝術大学で後進の指導にあたり高い評価を得たが、アーティストとしての評価が上がり始めたのはごく最近のこと。彼の死後、2014年になって東京国立近代美術館、その翌年に国立国際美術館、2019年にロンドンの王立彫刻家協会で大回顧展が開催されている。
ペース・ギャラリーは、6月13日から行われるアート・バーゼルで高松作品を初披露する。そこでは、白やオフホワイトの支持体に影のみを描いた高松の代表的なシリーズ「影」を特集する。9月には、ニューヨークの拠点で個展が開催予定だ。
同ギャラリーが高松作品の取り扱いを発表した声明で、CEOのマーク・グリムシャーは、「ミニマリズムとコンセプチュアル・アートにおいての高松次郎の功績は、日本美術界のみならず、世界的にも計り知れません。彼の瞑想的で哲学的なアプローチは、アグネス・マーティンやロバート・アーウィンなど、私たちのギャラリーに所属するアーティストとも共鳴します。この秋のニューヨークでの初個展を皮切りに、今後彼の画期的な作品を世界中の新しい観客に紹介することを楽しみにしています」と語った。(翻訳:編集部)
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