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澁谷翔の新作や貴重なアーカイブピースも。カルティエと日本の絆を紹介する展覧会が開催

カルティエは日本に最初のブティックを開店して50年になるのを記念し、日本とメゾンとの関わりに焦点を当てた展覧会「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 ― 美と芸術をめぐる対話」を6月12日から東京国立博物館表慶館で開催する(7月28日まで)。

会場となる東京国立博物館表慶館。

ルイ=フランソワ・カルティエによって1847年に創業されたカルティエが、東京・原宿に日本初のブティックを開いたのは1974年。それから今年で半世紀を迎えるのを記念し、6月12日から東京国立博物館表慶館で展覧会を開催する(7月28日まで)。プライベートコレクションやアーカイブ文書などの資料約200点と、カルティエ現代美術財団所蔵のアート作品などを通して、カルティエと日本の間に長年にわたって育まれてきた絆を紹介する。

カルティエの歴史と日本の関わりを貴重なアーカイブピースで紹介

本展では、創業者ルイ=フランソワ・カルティエ(1819-1904)の時代から今日に至るまで、日本がいかにカルティエの作品に影響を与えたかを様々な資料で浮き彫りにする。そして、「カルティエ コレクション」の貴重なアーカイブピースや、1988年以降に日本で開催されてきたカルティエの展覧会を通して、メゾンの歴史を振り返る。

ノット ブローチ, 1907 プラチナ、ゴールド、ダイヤモンド、ルビー Marian Gérard, Cartier Collection © Cartier

日本人アーティスト15人の作品からカルティエ現代美術財団との「アートの絆」に迫る

次に、多くの日本人アーティストをヨーロッパの人々に紹介してきたカルティエ現代美術財団にスポットを当てる。同財団による展覧会の開催や出版物の刊行、作品の制作依頼からコレクションにいたるまでの過程の資料を通して、同財団がさまざまな分野のクリエイションをどのように結びつけてきたのか、そのユニークな手法を紹介する。そして、日本のアートシーンを代表する16人の国内外のアーテイストの作品を通して、日本人アーティストと同財団との間で築かれた「絆」を明らかにする。出品作家は(50音順)荒木経惟川内倫子、北野武、澁谷翔、杉本博司束芋、中川幸夫、松井えり菜、三宅一生宮島達男村上隆森山大道横尾忠則など。

The Portraits of Japanese artists 横尾忠則 Collection of the Fondation Cartier pour l'art contemporain, Paris © Tadanori Yokoo © André Morin

その中でも、主にニューヨーク・タイムズ紙の一面にその時々の重大ニュースや社会問題を題材にしたイメージを描いた作品で知られる澁谷翔は、カルティエの50周年を記念して制作した新作50点を発表する。同作は、歌川広重と広重の作品《東海道五十三次之内》(1832)にオマージュを捧げて、日本橋を始点に47都道府県すべてを訪れ、36日間毎日、地方日刊紙の1面に空を描き続けたという。

また、フランスのデザイングループ、Studio Adrien Gardèreが手掛ける空間構成にも注目だ。床の間や数寄屋建築などの日本の伝統的な素材から着想を得たニッチ(壁面の一部をくぼませたスペース)やテーブル、日本の産業用足場システムを組み合わせて、1909年に建てられた「表慶館」のネオ・バロック様式の建築を引き立てる。

「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展  ― 美と芸術をめぐる対話」
会期:6月12日(水)~7月28日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館 (東京都台東区上野公園13-9)
時間:9:30~17:00(金土は19:00まで)
休館日: 月曜(祝日の場合は翌日)

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