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  • 2024.06.17

アート・バーゼルが終幕! 世界中から9万人超のアート関係者・コレクターがスイス第3の都市に集結

10月に開催されるアート・バーゼル・パリにその役割を奪われるのではないかとも噂される、同フェア生誕の地でのフェアが6月11日のVIPプレビューを皮切りに、16日まで開催された。同社が発表したプレスリリースをもとに、主要トピックを振り返る。

Photo: Courtesy of Art Basel

1970年にスイス・バーゼルのギャラリストたちによって創設されたアート・バーゼルは、現在、バーゼル、マイアミ・ビーチ、香港、パリの4拠点で開催される世界最大級のアート・フェアだ。開催都市と地域の特性を反映したユニークなプログラムでも知られている。 

さて、そんなアート・バーゼルの生誕の地であるスイス・バーゼル=シュタット準州の都市バーゼルでのフェアが、6月16日(日)に幕を閉じた。同市はフランスとドイツの国境の近くに位置するスイス第3の都市であり、約24平方キロメートルの土地に約17万6000人が暮らしている(ちなみに東京・品川区は22.7平方キロメートルで、人口約38万人)。

同社が発表したリリースによれば、VIPプレビュー期間も含めると6月11日から16日の6日間にわたって開催された今回のフェアには、40の国と地域から285のギャラリーが参加し、世界中から9万1000人が来場したという。

今回が初参加となったギャラリーは22軒。サンパウロのAlmeida ü Dale Galeria de Arteや、上海のBank、ジャカルタのROH Projectsや大阪のThe Third Gallery Aya、ソウルのWoosonなど、世界各地から多様なギャラリーがリストに加わった。

また今回の特徴として、バーゼルという都市の独特な文化的景観と文化を称え、地元に対するアート・バーゼルの貢献を強調するため、街全体を巻き込んだ様々なアート・イベントやパフォーマンスなどのパブリック・プログラムが強化された。

その一つであるバーゼルのメッセ広場で展示されたアグネス・デネスの《Honouring Wheatfield - A Confrontation》」(2024)は、フェア終了後も夏の期間中、展示される予定。また、今回リニューアル・ローンチされた「パルクール(Parcours)」部門は、ドイツ生まれのキュレーターで、現在ニューヨークのスイスインスティテュートのディレクターを務めるステファニー・ヘスラーが初めてキュレーションを担当。「変容と循環」をテーマに掲げ、フェアのメイン会場とライン川を結ぶ区画にある空き店舗やホテルなどの公共空間を舞台に、サイトスペシフィックなインスタレーションや彫刻、パフォーマンスなど多数の野心的なプロジェクトが展開された。一般会期の前夜にあたる6月12日(水)には、「パルクール・ナイト」と題し、誰でも参加できるライブ・パフォーマンスなどが行われた。 

大規模プロジェクトを展示するアート・バーゼルの花形「アンリミテッド」部門では、伝説の「アンリミテッド・ナイト」が復活し、6月13日に特別パフォーマンスなどが行われた。この部門では、アンナ・ウッデンベルクのサイトスペシフィックなインスタレーション《Premium Economy》(2023-2024)、ヘンリー・テイラーの《Untitled》(2022)、ルー・ヤンの新作ビデオインスタレーション《DOKU The Flow》(2024)、そして今回のアンリミテッドでデビューを果たしたフェイス・リングゴールドのマルチメディア・インスタレーション《The Wake and Resurrection o[the Bicentennial Negro》など、合計70の注目作品が紹介された。

さらに今年初めて、アート・バーゼルのコンセプトショップである「アート・バーゼル・ショップ」がローンチされた。パリの伝説的セレクトショップ、コレットの共同創設者であるサラ・アンデルマンがキュレーションを担当し、は、アパレルやグッズをはじめとする様々なスペシャルアイテムやエクスクルーシブなコラボアイテムなどがお目見えした。 

アート・バーゼル・イン・バーゼルのディレクター、マイケ・クルーゼは、今回のアート・バーゼルを振り返り、こう自信を見せた。

「アート作品の取引の場としてのバーゼルの重要性を再認識する機会となりました。出品作品と参加コレクター両方の観点からも、その質の高さを証明できたと自負しています。会期中は、メイン会場だけでなくバーゼル市内全域が活気に満ちていました。バーゼルは、アート・バーゼルの歴史的かつ象徴的な本拠地として、そして文化の中心地としての重要な役割を果たしており、私は、この重要なイベントを次の章を今から非常に楽しみにしています」 

アート・バーゼルはまた、香港政府観光局との3年間のグローバル・パートナーシップも発表。この提携は、香港の活気に満ちたアートシーンと世界のアートコミュニティをつなげることを目的に、香港という場所を超えて今年10月に開催予定のアート・バーゼル・パリをはじめ、世界各地で開催されるアート・バーゼルにも拡大されるという。

次回のアート・バーゼル・イン・バーゼルは、2025年6月19日から22日(一般会期)まで開催される予定。

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