猛暑でリンカーン像もぐったり!? その様子が「仕事で疲れ果てた自分のよう」と大バズり
アメリカ・ワシントンD.C.にある小学校に設置された、ろう製のリンカーン像が、このところの猛暑で思いがけない溶け方をしてSNSで話題になっている。
2024年4月、アメリカの首都ワシントンD.C.にあるギャリソン小学校に、かの有名なリンカーン記念堂にあるリンカーン像の縮小版ろう製レプリカが設置された。
これは、バージニア州で活動する若手現代作家、サンディ・ウィリアムズによる彫刻作品《40 ACRES: Camp Barker》。リッチモンド大学美術学部助教授を務めるウィリアムズは、リサーチ・ベースの学際的な作品で知られており、これまで歴史的な出来事や、口語的記録、国家神話、ポップカルチャーの流通などをテーマに作品制作してきた。リンカーン像のろう製レプリカのシリーズは2018年から制作を続けている。
今回の作品は、南北戦争時代に奴隷だった人々のために作られた北軍難民キャンプ「Camp Barker」をテーマに、同キャンプがあったギャリソン小学校に作品を設置した。ろう製のリンカーン像は高さ1メートル80センチ。像の中には芯が入っており、鑑賞者は数分間炎を灯すことができる。
そんなウィリアムズの《40 ACRES: Camp Barker》が、このところの猛暑で思いがけない溶け方をしていると、ネットで話題になっている。リンカーンが、まるで仕事にうんざりしているか、長い1日を終えてソファに沈み込んでいるかのように見えるのだ。像の姿はSNSで拡散され、「子どもを寝かしつけた後の私の姿のよう」「80年代のマクセル・テープのCMに似ている」など様々な意見が続いた。中には溶けたリンカーン像の画像に卑猥な画像を貼り付ける人も現れ、またたく間に「ミーム化」した。
リンカーン像は、ウィリアムズによると摂氏60度以上になると溶ける想定だった。だがここ数日ワシントンは38度近くまで気温が上昇しており、思いのほか低い温度で溶けてしまったという。
ニューヨーク・タイムスの取材に対してウィリアムズは、アーティストとして、ギャラリーでいわゆる特別な層に作品を見せ続けてきたが、それ以外の層に思いがけず知ってもらえたことは悪い事ではないと話す。彼はこう続けた。
「卑猥なジョークだけが、この出来事から受け取ってほしい全てではありません。私が望むのは、拡散されていくこの作品を目にするあらゆる層の人々が、作品とじっくりと向き合い、この作品が伝えようとしている深い歴史を知る瞬間を持ってくれることなのです」
ウィリアムズは、溶けたリンカーン像は現在頭が溶け落ちており、首のない状態で小学校に設置し続けることが適切かどうか疑問だという意見があったと自身のインスタグラムで明かした。だが、現在小学校は夏休み中なので直すつもりはないという。新学期が始まる8月に新しい彫刻を設置する予定だ。