今週末に見たいアートイベントTOP5: ミロ国内最大級の回顧展、近藤亜樹の近作約80点が一堂に
関東地方の美術館・ギャラリーを中心に、現在開催されている展覧会の中でも特におすすめの展示をピックアップ! アートな週末を楽しもう!

1. 「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」(水戸芸術館現代美術ギャラリー)
近藤亜樹が作品で示す「描くこと」と「生きること」
躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩の絵画で知られる、近藤亜樹の過去最大規模の個展。2022年以降の作品24点と、今展に向けて制作された50点を越える新作を一挙に展示している。
本展の見どころの一つとなる9メートル超の新作絵画《ザ・オーケストラ》(2024)は、喜びや悲しみ、困難の受容と再起への希望とが芸術として昇華され、個々の表現が一体となる瞬間を描いた躍動感溢れる作品。同館前館長の指揮者、故・小澤征爾や、落雷に打たれてもなお新しい芽を宿す巨木からインスピレーションを得たという本作は、人間のみならず動物や植物、昆虫や擬人化された音の粒さえもが混然となって画面を埋め尽くしており、その様子はユーモアが漂う。近藤が力を注いだサボテンをモチーフにした新シリーズも見逃せない。同作は建築家の青木淳による展示構成によって展開され、「いい顔してる植物」をコンセプトに活動する植物屋「叢」とコラボレーションも行われている。
「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」
会期:2月15日(土)~5月6日(火休)
場所:水戸芸術館現代美術ギャラリー(茨城県水戸市五軒町1-6-8)
時間:10:00~18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜日(5月5日は除く)
2. 「わたしたちの返事:1975-2025」(アニエスベー ギャラリー ブティック)

4作家が導き出すアニエス・ヴァルダ作品へのアンサー
片山真理、小林エリカ、スクリプカリウ落合安奈、東京QQQ(アオイヤマダ、かんばらけんた、Kily shakley、KUMI、高村月、ちびもえこ、平位蛙、MONDO、山田ホアニータ)x 海老坐禅(河野未彩、磯部昭⼦、冨沢ノボル、⼆宮ちえ、Oi-chan)によるグループ展。
1975年、国連は3月8日を「国際女性の日」と定めた。この年は、女性の権利やジェンダー平等の推進において重要な節目となり、現代の女性運動やフェミニズムの歩みにも深い影響を与えている。同じ年、アニエスベーが敬愛する映画監督であり、写真家、そしてアーティストでもあるアニエス・ヴァルダは、短編映画『RÉPONSE DE FEMMES: NOTRE CORPS, NOTRE SEXE(女性たちの返事:私たちの体、私たちの性)』を制作。計8分間の映像の中では「⼥性とは何か︖」という問いに対し、⼥性たちが率直かつ⼤胆に応える姿が印象的に描かれている。その50年後に開催される本展では、1975年以降に生まれ、異なる世代や分野で活躍するアーティストたちがこの映画の声を読み解き、身体、記憶、対話、土地、生き様、そしてアイデンティティというそれぞれの物語をもとに「わたしたちの返事」を紡ぎ出す。
「わたしたちの返事:1975-2025」
会期:2月22日(土)~3月23日(日)
場所:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25)
時間:12:00~19:00
休館日:月曜
3. 総合開館30周年記念 「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」(東京都写真美術館)
鷹野隆大が見つめた「日常」
2025年1月に同館が総合開館30周年を迎えたことを記念し、その第1弾として、重点収蔵作家である鷹野隆大の多彩な作品を紹介する。1963年福井県生まれの鷹野は、写真集『IN MY ROOM』(2005)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞し、国内外で活躍を続ける写真家、アーティストだ。『IN MY ROOM』に代表されるセクシュアリティをテーマとした作品と並行し、《毎日写真》や《カスババ》といった日常のスナップショットを手がけ、さらに東日本大震災以降は、「影」を被写体とした写真の根源に迫るテーマにも取り組んでいる。
本展のタイトル「カスババ」は鷹野の造語で、「滓(カス)」のような「場所(バ)」の複数形だ。日常をテーマとしたスナップショットシリーズを中心に、初公開作品も含めた約109点を紹介。写真のみならず、映像、インスタレーションと多岐にわたる表現方法で実験、再編しながら新たな表現に挑戦する鷹野の制作に迫る。会期中の毎週金曜日の夜18:00~、19:00~の各7分間、映像作品を特別上映する。
総合開館30周年記念 「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」
会期:2月27日(木)~6月8日(日)
場所:東京都写真美術館(東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内)
時間:10:00~18:00(木金は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜(5月5日は除く)、5月7日
4. ミロ展(東京都美術館)
巨匠ミロ、国内最大級の回顧展
1893年にスペイン・カタルーニャ州に生まれたジュアン・ミロ(1893~1983)は、同郷のピカソと並び20世紀を代表する巨匠に数えられる。太陽や星、月など自然の中にある形を象徴的な記号に変えて描いた、詩情あふれる独特な画風は日本でも高い人気を誇っている。
本展は、日本でのミロの回顧展としては、ミロ自身が協力し実現した1966年の展覧会に並ぶ、最大規模の回顧展となる。故郷カタルーニャの地で描いた初期の名作《ヤシの木のある家》や1920年代の傑作《オランダの室内I》、代表シリーズ「星座」(1940-41)など、画業の各時代を彩る絵画や陶芸、彫刻により、90歳まで新しい表現に挑戦し続けたミロの芸術を紹介する。
ミロ展
会期:3月1日(土)~7月6日(日)
場所:東京都美術館(東京都台東区上野公園8-36)
時間:9:30~17:30(金曜は20:00まで、入場は30分前まで)
休館日:月曜日(4月28日、5月5日は除く)、5月7日
5. 「FACE展 2025」(SOMPO美術館)
新進作家の登竜門展。入選作57点を一堂に公開
「年齢・所属を問わない新進作家の登竜門」として、2012年度に開始した公募形式の展覧会「FACE展」(主催:SOMPO美術館、読売新聞社)。第13回目となる本展では、全国1312人の応募の中から、将来国際的に評価され得る可能性を秘めた入選作品57点を選抜・展示している。
そのうち、受賞作品は9点。グランプリを受賞した齋藤大の《キャンプファイヤ》(2024)は、キャンプ場の、人工的な明かりがなく木々の揺れる音や動物が発する鳴き声が響く環境に魅入られ、原始の人類へと思いを馳せたた体験から生まれた作品だという。優秀賞は春日佳歩《必要条件》(2024)、HUANG YUQI《物事の秩序Ⅱ》(同)、竹内 美樹《祖母宅の庭》(同)。
「FACE展 2025」
会期:3月1日(土)~3月23日(日)
場所:SOMPO美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1)
時間:10:00~18:00(入場は30分前まで)
休館日:月曜